FINAL FANTASY VII
陽の当たらない世界
大気は澱み、大地には草木はほとんど見当たらない
ひとりの女性がここでは珍しい花を売るためにスラムの中を歩いている
目の前には車やバイクが走り抜け
人々は女性には目もかけず忙しそうに過ぎ去っていく
ここは巨大都市ミッドガルの下に位置するスラムと呼ばれる地
下に位置すると言うよりも、この上に人工の街ミッドガルが建造されているのだ
そのためこの地では太陽の光は当たらず、人々は貧しい生活を強いられている
産業がもたらした弊害である
人々の生活エネルギーをもたらすために建造された巨大都市
だがその陰には環境破壊、貧富の差などが生じ
貧しい者達は陽の当たらぬ下の大地に押し込められてしまったのだ
そして彼らを後目に優雅な生活を送っているのが巨大企業神羅カンパニーである
神羅は圧倒的な経済力に物を言わせて人工都市ミッドガルを建造し
この街のすべての産業、経済から人々の生活に至るまで君臨している
当然住民の反発が起こらないわけではない
しかし神羅独自のソルジャーと呼ばれる一流の兵士が彼らを弾圧しているのだ
だが、力で抑えていれば必ずどこかでまた火の手が上がるものである
場所は変わり、ここはミッドガルのエネルギーを生み出している発電所
今ここに、貨物列車が最寄りのプラットホームへと到着した
しかし駅員を待ち受けていたのは貨物だけではなかったのだ
列車が止まると同時に突然数人の武装した者達が列車から飛してきた!!
そして驚く駅員を次々と殴り倒し奥へと走っていく
そして最後に褐色の肌をした体格のいい男と金髪の若者が列車から降り立った
「行くぞ、新入り! オレに続け!」
そう言って走っていく男達
しかし奥からは警備の者がやってきている
金髪の若者はそれをあっさりと片付けて男を追いかける
奥に行くと、先に行った仲間が扉の前で待っていた
ビッグス「さすが、ソルジャー! でもよ、反神羅グループ
『アバランチ』にソルジャーが参加するなんてスゲエよな!」
ジェシー「その話って本当だったの?
ソルジャーって言ったら私達の敵でしょ?」
ビッグス「早とちりするな、ジェシー。元、ソルジャーなんだってさ。
今はもう神羅を辞めちまって俺達の仲間ってわけさ。
まだ名前聞いてなかったよな。教えてくれ。」
クラウド「……クラウドだ。」
ビッグス「クラウドか、俺は……」
クラウド「あんた達の名前なんて興味ないね。
どうせこの仕事が終わったらお別れだ。」
そこに先程の体格のいい男が走ってきた
「何やってんだお前達! 固まって行動するなって言ってんだろ!
ターゲットは壱番魔晄炉。魔晄炉前のブリッジに集合だぞ。」
ちょうどその時仲間のひとりが扉のロックを解除し、仲間達は走り込んでいった
「元ソルジャー…… チッ、信用できねえな。」
バレットと名乗った男はそう言い捨てて走っていく……
クラウドの目の前には『壱』と描かれた巨大な魔晄炉が立ち塞がっている
クラウドもまたバレット達を追って魔晄炉を目指して行くのであった
クラウド-Cloud Strife 元神羅のソルジャー。ニブルヘイムという小さな村に生まれ、
小さい頃から強さに憧れていた。14歳の頃ミッドガルへ来てソルジャーに
なるべく訓練を積む。その甲斐あってかソルジャー1STクラスへと昇格。
しかし5年前に退役。その理由は定かではない。
瞳はソルジャーの証である青であり、これは魔晄を浴びた証拠でもある。
年齢は21。性格は冷静沈着であり、必要以外の事には興味を示さない。
現在は傭兵稼業で、今回は反神羅組織『アバランチ』に雇われている。
バレット-Barett Wallace 反神羅組織『アバランチ』の現リーダー。35歳。
彼自身は数年前までコレルという小さな村に住んでいた。
しかし神羅によって村が焼き払われ、妻を始めとした村人、そして自身の
右腕を失うという事件をきっかけにアバランチに参加し、
現在は指揮を執る立場になっている。
失われた彼の右腕はギミックアームと呼ばれる銃を装着し、
それが常に反神羅への原動力となっている。
性格は単純明快。論理的な思考よりも感情を表に出す性格で見た目は
荒っぽくて近づき難いがその奥には優しさもある。
現在は生き残っていた一人娘とともにミッドガルのスラムに暮らしている。
ビッグス-アバランチのメンバー。性格は穏便でバレットの押さえ役でもある。
仕事の後の一杯がたまらなく好きな一面もある。
ウェッジ-アバランチのメンバー。みんなに対して敬語を使っているところから
組織内での立場は低いらしい。
体格は太っていて、これは料理の味見役のためだと本人は弁解している。
ジェシー-アバランチのメンバー。精密機器の複製から爆弾製作までハイテク関係を
担当している。趣味も同じくハイテク関係であるが、少々うっかりした
ところもある。クラウドに対しては好意を抱いているように見える。
やがて魔晄炉前に辿り着くと、他の仲間は既に集合していた
壱番魔晄炉 ウェッジ「俺は脱出口を確保しておくっす!
しっかし、この大きな魔晄炉を爆破するなんて……
見物っすね!」
そして魔晄炉の扉のロックを解除し、
見張り役のひとりを除いて全員が魔晄炉に突入していく
バレット「……おい。お前魔晄炉は初めてじゃないんだろ?」
クラウド「まあな。
ソルジャー…… 神羅カンパニーの人間だったからな。」
バレット「この星は魔晄エネルギーに満ちている。
住民はその魔晄エネルギーを使って日々生活している。
でも誰も魔晄の本質を知らねえんだ。お前、知ってるか?」
クラウドは知らないという素振りをすると
バレット「魔晄はこの星を流れる血だ。
それを神羅って会社はガンガン吸い出していやがる。
そのへんちくりんなスクラップでな……」
クラウド「能書きはいい。先を急ごう。」
バレット「クッ…… よし、ここからはオレと一緒に行動してもらうぜ。」
バレットとのやり取りの間、他の仲間がロックの解除を行っていた
ジェシー「私とビッグスがここのドアロックの暗号を手に入れたの。」
ビッグス「ここの暗号を入手するために何人の仲間が
犠牲になった事か……」
こうして何とかドアを解除し、奥のエレベータへと向かった
エレベータ ジェシー「さ、そこのボタンを押して!」
言われたとおりボタンを押すとエレベータは作動し始めた
バレット「魔晄炉のせいで、この星の命は毎日削れていく。
そしていつの日か…… ゼロだ。」
クラウド「悪いけど興味が無いな。」
バレット「星が死んじまうんだぞ。えっ、クラウドさんよ!」
クラウド「俺が考えているのは、さっさと仕事を終わらせたいって
事だけだ。警備兵やガードロボットが来ないうちにな。」
バレットは憤慨していたが、やがてエレベータが止まると
それを後目に奥へと急いだ
やがて魔晄炉と呼ばれるところまで着くと
壱番魔晄炉 バレット「ここもブッ壊しちまえばただのガラクタだぜ。
クラウドさんよ、この爆弾をセットしてくれ。」
クラウド「あんたがやった方がいいんじゃないのか?」
バレット「オレ? オレは見張らせてもらう。
お前さんがおかしな真似をしないようにな。」
クラウド「……好きにしてくれ。」
そうしてクラウドが爆弾をセットしようとした時
突如謎の声が聞こえてきた……
『目を覚ませ! ここはただの発電所じゃない!』
バレット「…………うした?」
クラウド「え?」
バレット「どうしたクラウドさんよ? 早くしてくれ!」
クラウド「……ああ、すまない。」
そうしてクラウドが時限式爆弾を仕掛けると、突然警報が鳴り始めた!!
バレット「本格的にやってくるぜ。」
現れたのはガードスコーピオンと呼ばれるガードロボットであった
クラウド「バレット、気を付けろ! 尻尾を上げている間に攻撃すると
レーザーで反撃して来るぞ。」
何とか倒すと
クラウド「さあ、脱出だ。」
先程仕掛けた爆弾が爆発するまであと10分
急いで先を進むが、途中ジェシーが倒れている
クラウド「大丈夫か?」
ジェシー「うかつ!! 脚が挟まって…… サンキュー!」
こうして途中仲間と合流しつつ脱出口から出ると
仕掛けた爆弾が爆発し、壱番魔晄炉は停止した
ビッグス「星の命…… ちょっとは延びたかな。」
ウェッジ「そうっすね。」
バレット「…………」
ジェシー「出来た! 下がって。」
ジェシーが脱出すべく爆弾をセットしていたのだ
そうして出来た穴から脱出すると
バレット「さあ、引き上げるぞ。ランデブー地点は8番街ステーション!
各自単独行動、列車に乗り込むんだ!」
クラウド「お、おい!」
バレット「金の話なら無事にアジトに帰ってからだ。」
そうして散っていく仲間達
クラウドも駅へと向かって走るのであった……
石炭に替わる新たなエネルギー-魔晄
魔晄とは星に眠る養分、即ち星のエネルギーである
このエネルギーを実用化したのが神羅カンパニーと呼ばれる一企業であった
神羅は魔晄から得られた膨大なエネルギーで人々の生活を豊かにしていった
だがしかしそれは見かけの豊かさである
世界各地に設置された魔晄炉と呼ばれる魔晄抽出施設により
そこの土地は痩せ、また魔晄炉から吐き出る煙が空気を澱ませていく
花は咲かず、鳥は姿を消す、即ち星が枯れていくのだ……
しかし魔晄の独占により多大な利益を得た神羅は
星の危機よりも自社の利益を優先するため
次々と魔晄炉を建設し、魔晄を吸い上げていく
今や家庭用品から軍事関係まですべてを握るまでになった巨大企業神羅
反対派の者は神羅の兵士によって抹殺され
ますます神羅の独裁と星の枯渇が進んでいくのである……
さて、仲間を追って走っていくとそこはスラムの一角の繁華街であった
先程の爆破の影響か、街中緊迫した空気に包まれ
人々は先を急いで避難している
クラウドはその中を駅に向かっていく途中、ひとりの女性に声を掛けられた
その女性はこのスラムでは珍しい花を売っている女性であった
花売り 「ねえ、何があったの?」
クラウド「気にするな…… それより…… 花なんて、珍しいな。」
花売り 「あっ、これね。気に入ってくれた? 1ギルなんだけど、
どう?」
クラウド「貰おう。」
花売り 「わあ、ありがとう! はい!」
これが、運命的な出会いである事はまだふたりとも知らない
クラウドは花売りの女性と別れ、駅へと向かって急いでいった
しかし、途中で
兵士 「おい! そこの男!!」
クラウド「神羅兵か……」
神羅兵が疑い深そうにやってくる
戦っても勝てなくはない相手ではあったが面倒なので逃げる事にした
兵士 「待て!!」
逃げるクラウドに対し、兵士は銃を撃ってきた
クラウドは難なく銃をかわして逃げようとしたが
いつの間にやら神羅兵に囲まれてしまっていた!!
兵士 「ここまでだな。」
クラウド「残念だが、お前らの相手をしてるほど暇じゃないんでな。」
兵士 「戯言を…… よし捕らえろ!!」
そうして神羅兵がクラウドを捕らえようとした瞬間
クラウドは橋桁から飛び降りた!!
その下には線路があり、今ちょうどそこに列車が通過していたのだ!!
クラウドは華麗な身のこなしで列車に飛び乗り、まんまと兵士から逃げたのだ!
一方、列車の中では先に合流していたアバランチのメンバーがいた
彼らはクラウドが間に合わなかったので先に乗っていたのだ
列車 ウェッジ「クラウドさん、来なかったっすね。」
ビッグス「クラウド…… やられちまったのかな」
バレット「ケッ……!!
あの野郎が金を貰わねえでいなくなるわけねえだろ!!」
ジェシー「クラウド……」
ビッグス「なあ、クラウドってさ… 最後まで、俺達…
アバランチのために戦ってくれんのか?」
バレット「さあな…… 知らねえよ。
チッ!! お前らがもう少し頼りになりゃよ……
あんな野郎、雇わねえでもいいんだがな…」
ウェッジ「あ、バレットさん、俺達の給料……」
バレットは何だとばかりに近くの箱を殴ると
ウェッジ「や、何でもないっす…」
それを見た他の面々も……
「ふっ~~……」
と、その時物音がした
ここは列車の貨物室のため、一般の客は来ない筈だ
思わず一同は緊張するが
そこに飛び込んできたのはクラウドであった!!
ビッグス「クラウド!!」
ウェッジ「クラウドさんっ!」
ジェシー「クラウド……」
3人が驚きと喜びで声を詰まらせている中、クラウドはひとり冷静に
クラウド「約束の時間に遅れたようだ。」
バレット「おい! 遅刻野郎!! 随分派手なお出ましじゃねぇか。」
クラウド「そうでもない。普通だ。」
バレット「ケッ!! 心配させやがって勝手な野郎だ!」
クラウド「ほう……? 心配してくれたのか。」
バレット「何っ!! チッ…… 遅刻の分は報酬から引くからな。
おい、おめえら! 場所を変えるぞ。ついてこい!」
バレットはそう言って普通車両へと向かっていく
ウェッジ「あっ、クラウドさん!! お疲れっす!」
ビッグス「へへ…… クラウド! 次の作戦も、頑張ろうな。」
他のメンバーもバレット追って車両へと行く…
ジェシーはクラウドが入ってきたドアに気付き
ジェシー「危ないから閉めとくね。
やだ! クラウド!! 顔、真っ黒……
はい、出来上がり!
ね、魔晄炉で助けてくれてありがとう!」
そうしてふたりも先へと行くのであった
最終列車のためか列車内は人も疎らであった
耳にはアナウンスが聞こえてくる
「ミッドガル8番街ステーション発最終列車~
終点、スラム7番街列車墓場駅~
到着予定時刻はミッドガル時0時23分……」
バレット達が入ってくるとわずかにいた乗客は
柄の悪そうな雰囲気に驚き別の車両へと移動した
サラリーマン「これだから終電は参るよ… はあ……」
終電帰りのサラリーマンも不機嫌そうに立ち去っていった
車掌 「頼みますよぅ!! 他のお客さんの迷惑になりますから…」
慌てて車掌が諌めに来たがバレット達は聴く耳持たずであり
ちょっと驚いたクラウドを見て
バレット「子供じゃねえんだ。じっとしてろよ。」
バレットは座席にふんぞり返り
また他のメンバーはこれからの事に対して考えているようであった
ウェッジ「アバランチで名を挙げていつか俺だって…… っす!」
ビッグス「まだ列車の非常警備体制には移行してないみたいだな。
明日はそうはいかないだろうけどな。」
またジェシーはクラウドを見るとこちらに呼び
ジェシー「ね、クラウド。一緒に見ない?
ミッドガル列車路線図ディスプレイ。ふたりで見ればきっと
楽しいと思うの。私、説明してあげるね。私、こういうの
好きなのよ。爆弾とかモニタ画面とかハイテク関係。
さ、始めるわよ。
これが魔晄都市ミッドガルの全景フレームモデルね。
スケールはだいたい1/10000ってとこかな。
上のプレートは、地上から約50M離れているの。
プレートを支えてるのは中心の大きな支柱と各区画に
建てられた柱…… 柱は、機械塔とも呼ばれてるわ。
ヒソヒソ……
(爆破した壱番魔晄炉が北のはずれにあるの)
そこから順番に2、3…… 8番魔晄炉まで8つの魔晄炉が
ミッドガルの電力供給を支えているのよ。それぞれの街には、
名前もあったんだけどミッドガルに住む人は誰も
覚えちゃいないわ。名前なんかより、番号で呼ぶの。
そういうところなのよ、ここは。
ふぅ…、次はこれ!
ほら、見て。私達が今乗ってる列車のルートがこれよ。
プレートを支えている大きな柱に螺旋状にレールが
通っているの。今は柱のちょうど真ん中辺りね。
各通過ポイントにはID検知エリアが設置されてるの。
乗客すべての身分や何から全部! 神羅ビルの
ホストコンピュータと連動してチェックされちゃうわけよ。
ひそひそ……
(私達はどう見たって不審人物だから偽のIDで
通過してるの)」
その時ちょうど列車内が暗くなり、警報が鳴り始めた
ジェシー「噂をすれば、ね。この先がID検知エリア通過のサインなの。
ひそひそ……
(暗くなるから痴漢が多いのよ。ID検知エリアは……)
ま、それはさておきもうすぐ地上に帰れるってわけ。
何だか、ホッとするね。」
バレット「見ろよ… 地上が見えてきたぜ。昼も夜もねえ、オレ達の
街がよ。ミッドガルのプレートさえ無けりゃなぁ…
でっけえ空が拝めんのになあ。」
クラウド「空中に浮かぶ都市か…… 落ちつかない風景だな。」
バレット「はあ? あんたがそんな風に感じるとはな。 ……意外だぜ。
上の世界…… プレート都市…… あの腐ったピザのせいで
下の人間がどんなに苦しんでる事か……
下の世界は今じゃあ汚された空気の溜まり場だ。
おまけに魔晄炉はどんどんエネルギーを汲み上げちまう。
お陰で土地は枯れる一方だ。空気を綺麗にする力も
無くしちまった。」
クラウド「どうしてみんな上へ移らないんだろう……」
バレット「さあな。金が無いからだろ。いや、それとも……
どんなに汚れていても地ベタが好きなのかもな。」
クラウド「わかっているさ… 好きでスラムに住んでいる奴などいない。
みんな、この列車と同じ。敷かれたレールには
逆らえないんだ。」
神羅カンパニーの誇る魔晄都市-ミッドガル
魔晄の豊富な土地に建造された人工都市である
都市の中央には神羅の繁栄の象徴、70階の高層ビル「神羅ビル」がそびえ立ち
それを中心に8基の魔晄炉がビルを固め、円形に街が広がっている
ミッドガルは元々荒れ地であった場所に建造されたため
都市そのものが50M以上浮かんだ構造をしており
それを8本の柱が都市を支えている
当然下の大地には太陽は当たらず、貧しい人々が追いやられてスラムを形成し
上に住む上流階級の人々と差別化されている
そのためスラムに住む人はミッドガルの姿を「腐ったピザ」と呼び捨て
反感を募らせる一方、いつかは優雅な生活をしたいと思っているのである
そうこうしているうちに列車は駅に着いた
みんな降りると
列車墓場駅 バレット「おう!! みんな、集まれ!!
今回の作戦は成功だ。だがな、気を抜くなよ。
本番はこれからだ! あんな爆発でびびるな!
次はもっと派手にかますぞ! アジトに集合だ!! 行くぞ!」
バレット達はアジトへと走っていく
それを追っていたクラウドは途中、柱を見上げている人を見つけた
男 「おっ!! おっおっと!! ああ、何て事を!! 邪魔しないで
くれよ…… ったく! ん? あんたも見に来たのか?
上で爆弾テロがあったんだってよ。この柱がぶっ飛んだら、
このスラムも終わりだからな……
まあ、心配するだけ無駄だったな。
なぁ!! 見てみろよ。いつ見ても、どでかい柱だなぁ。
ほら…… 何だか、素敵で不思議な場所だろ。俺の場所だが、
たまには見に来てもいいぞ。じゃな!! 兄弟!」
バレット「おい、クラウドこっちだ!」
いつまでも来ないのでバレットがクラウドを呼んでいた
急いで向かうと、バレット達は一軒の居酒屋へと入っていった
更に中にいた人を追いだした
クラウドが着くとバレットは何やらにやけた顔をし
バレット「へへ…… 幼馴染みに早く会いてえか?」
クラウド「幼馴染み?」
バレット「ヘッ!! とぼけちゃってよ。いいのかねえ…
よし! 先に入ってろ。」
クラウドは『セブンスヘブン』という居酒屋に入ると
既に仲間達は食事を始めていた
そして小さな女の子が出迎えてくれた
セブンスヘブン 女の子「父ちゃん!!」
しかし女の子は出迎えた相手が違うとわかると恥ずかしそうに隠れてしまった
慌ててひとりの女性がカウンターから女の子に近づき
「ほら、マリン! クラウドにお帰りなさいは?」
そうして女性はクラウドに向かい
「お帰りなさい、クラウド。作戦は上手くいったみたいね。
バレットとは喧嘩しなかった?」
クラウドは我慢したと答えると
「ふ~ん。クラウドも大人になったのね。
子供の頃は、すぐ喧嘩だったのに。」
彼女の名はティファ。クラウドの幼馴染みである
ティファはクラウドの持っていた花に気が付き
ティファ「あら? お花なんて珍しいわね。
スラムじゃ、滅多に咲かないのよ。でも……
プレゼントに、お花なんてクラウド、そうなんだ~」
クラウド「そんなんじゃないさ。でもティファ、あげる。」
ティファ「ありがとう、クラウド。ん~、いい香り!
お店を花でいっぱいにしちゃおうかな。」
ティファは突然のプレゼントに喜んだ
一方、先程からマリンという小さな女の子は恥ずかしいのかもじもじしている
マリン 「…………」
ティファ「クラウド、ごめんね。マリン、照れちゃってるみたい。」
ティファ-Tifa Lockhart クラウドと同じニブルヘイム村の出身で20歳。
現在はセブンスヘブンの看板娘。
抜群のスタイルと美貌、そして料理の腕前を持つ彼女はここスラム七番街で
人気者で、セブンスヘブンの売り上げに貢献している。
アバランチのメンバーでもあり、幼い頃より格闘家ザンガンに師事して
会得した格闘術で戦闘力もかなりのものを誇っている。
数日前に幼馴染みのクラウドと偶然出会った事から彼に今回の手助けを
頼んだのだ。
マリン-バレットの一人娘で4歳。
母親とは産まれてすぐに事件に巻き込まれて死別しているため、
普段はティファと一緒にセブンスヘブンの手伝いをしている。
一方、仲間達は既に出来上がっている様子で
ビッグス「ああ~!! 仕事の後の一杯は応えらんねぇなぁ。
ヒック!! クラウドさんも、お一つどうですか?」
クラウド「そうだな、貰おうか。」
ビッグス「おッ!! いい心掛けじゃねぇか!!
元ソルジャーでもここじゃおめえも新人だ。
新人にとっちゃ先輩の言う事は絶対だからな!」
ウェッジ「あ、クラウドさん!
ティファちゃんの料理って美味しいっすねえ。パクパク……
でも、聞いてくれます?」
クラウド「何を?」
ウェッジ「ティファちゃんっていつも俺に、調理の味見させるっすよ。
お陰でほら、俺、こんな丸っこくなっちゃって。
嬉しいやら、悲しいやら。美味しい料理とお酒が評判で
お店は繁盛してるんですけどね。」
ジェシー「う・か・つ・…… 何だか、ドキドキしてる。何故なの…?」
そしてバレットが入ってくると、マリンは喜び
マリン「父ちゃん、お帰り!」
バレットはマリンを嬉しそうに抱えあげる
ティファ「バレット、ご苦労様。」
バレット「おう!! おめえら!! 会議を始めっぞ!!」
そうして店の奥からアジトへと仲間達は入っていった
クラウドはカウンターにいるティファに話しかけると
ティファ「どうぞ、座って。 ねえ…… 何か飲む?」
クラウド「きついの、くれないか。」
ティファ「待ってて。今作るから。
何だか、ほっとしちゃった。クラウドが無事戻ってきて。」
クラウド「急にどうした? あの程度の仕事、何でもないさ。」
ティファ「そうね…… クラウド、ソルジャーになったんだもんね。
……今回の報酬なんだけどバレットから貰ってね。」
クラウド「そうするよ。報酬を貰えば、また、お別れだな。」
ティファ「ねえ、クラウド。気分はどう?」
クラウド「……普通さ。どうしてそんな事を聞く?」
ティファ「ううん、何でもない。ただ、疲れてないのかなって…」
クラウドはその問いに首を振るとバレット達の後を追うようにアジトへと向かった
星の命を削る神羅に対抗する組織-アバランチ
コスモキャニオンという星空が煌めく峡谷の村にて
星の命を尊ぶ人物により結成されたグループである
その思想は星の命を守る事であり
星の命『魔晄』を削って利益を追求している神羅に対しての組織へと変貌を遂げる
彼らは最初はビラ配りから人々への関心を引こうとしていたが
やがて実力行使に方向を向け、今回の魔晄炉爆破に至ったのだ
アジトではバレットが日頃の運動なのかサンドバッグを叩いていた
もう既に会議はあらかた終了しており、次回の作戦も決まっていたようだった
仲間達は次の作戦に向けて何やら思案しているようだ
またテレビでは先程の爆破の事を放映し
神羅の社長であるプレジデントが演説している
アジト プレジデント神羅「……壱番魔晄炉爆破事件に関してアバランチと名乗る
組織から犯行声明が出されています。
声明によるとアバランチは今後も同様のテロを続ける事を
予告しております。しかし、ミッドガル市民のみなさん
安心して下さい。我々神羅カンパニーはこのような暴力から
みなさんを守るためにソルジャーの投入を決定しました。
これで……」
ウェッジ「もしかして、俺、固まってます?」
クラウド「ああ……」
ウェッジ「次の作戦は、伍番魔晄炉爆破!! 俺、緊張しちまって、
ガチガチなんすよ。クラウドさんは、さっすがすね~
全然緊張とかしないでしょ? もしかして何も感じないとか?
エヘヘ… そんなわけ無いっすよね。」
ジェシー「うかつ…… 見てよこのニュース…… こんなに爆発してる。
やっぱり、私の爆弾のせい?
でも、このコンピューターの指示通り作っただけなのに。
やだ! どっかで計算間違ったかしら。
でも、私の爆弾の晴れ舞台。ちょっと、嬉しいんだ。」
バレット「おい、クラウドさんよ。聞きたい事があるんだ。
今日、オレ達が戦った相手にソルジャーはいたのか?」
クラウド「いや、いなかった。それは確実だ。」
バレット「随分と自信たっぷりじゃねえか。」
クラウド「もしソルジャーと戦っていたら
あんた達が生きてる筈ないからな。」
バレット「自分が元ソルジャーだからって偉そうに言うんじゃねえよ!」
バレットは思わずクラウドに飛びかかろうとするがビッグスが慌てて取り押さえる…
クラウド「…………」
バレット「確かにお前は強い。恐らくソルジャーってのはみんな
強いんだろうさ。でもな、お前は反乱組織アバランチに
雇われてる身だ。神羅の肩を持つんじゃねえ!」
クラウド「神羅の肩を持つ? 俺はあんたの質問に答えただけだ。
俺は上で待っている。報酬の話がしたい。」
バレット「チッ!! ……………ほ、報酬かよ…」
ティファ「待って、クラウド!」
バレット「ティファ! そんな奴放っておけ!
どうやら神羅に未練タラタラらしいからな!」
クラウド「黙れ! 俺は神羅にもソルジャーにも未練はない!
でも、勘違いするな!
星の命にもお前達アバランチの活動にも興味はない!」
クラウドが立ち去ろうとしたとき、ティファがさりげなく
ティファ「みんなには、謝っておくね。」
また他の仲間達もクラウドの態度に戸惑いながらもいろいろと心配しているようだ
ウェッジ「……クラウドさん。興味がないと言いながら…
俺に話しかけてる。クラウドさん……
ほんとは友達欲しいんっすよね。ね、そうなんでしょ?」
クラウド「冗談じゃない。」
ウェッジ「そうかなあ。何か、淋しそうなんだけど。
俺みたいので良かったらいつでもOKっすから。」
ジェシー「報酬…… ああ、参ったわ。確か、高額って約束よね。う~ん!
ま、いいか、口約束だし。さ、計算しなきゃ…
やだ! クラウド! 聞こえちゃったかしら。」
クラウドがアジトから出るとティファが追ってきて
ティファ「クラウド、お願い。力を貸して。」
クラウド「ティファ…… 悪いけどさ。」
ティファ「星が病んでるの。このままじゃ死んじゃう。
誰かが何とかしなくちゃならないの。」
クラウド「バレット達が何とかするんだろ? 俺には関係ないさ。」
ティファ「あ~あ! 本当に行っちゃうんだ!
可愛い幼馴染みの頼みも聞かずに行っちゃうんだ!」
クラウド「ん……? ……悪いな。」
ティファ「……約束も忘れちゃったんだ。」
クラウド「約束?」
ティファ「やっぱり忘れてる。思い出して…… クラウド。
あれは7年前よ……」
クラウドは腕を組み天井を仰いで思い出そうとする……
ティファ「ほら、村の給水塔。覚えてる?」
クラウド「ああ…… あの時か。
ティファ、なかなか来なくてちょっと寒かったな。」
7年前……
クラウドはティファに大事な話があるとかで
満天の夜に給水塔で彼女を待っていた……
ティファ『お・ま・た・せ。な~に? 話があるって。』
クラウド『俺…… 春になったら村を出てミッドガルへ行くよ。』
ティファ『……男の子達ってみ~んな村を出てっちゃうね。』
クラウド『俺はみんなとは違う。ただ仕事を捜すだけじゃない。
俺、ソルジャーになりたいんだ。
セフィロスみたいな最高のソルジャーに。』
ティファ『セフィロス…… 英雄セフィロス、か。
ソルジャーになるのって難しいんでしょ?』
クラウド『……しばらくの間村には戻れないな、きっと。
……うん?』
ティファ『大活躍したら新聞にも載るかな?』
クラウド『頑張るよ。』
ティファ『ね、約束しない? あのね、クラウドが有名になってその時、
私が困ってたら…… クラウド、私を助けに来てね。』
クラウド『はぁ?』
ティファ『私がピンチの時にヒーローが現れて助けてくれるの。
一度くらい経験したいじゃない?』
クラウド『はぁ?』
ティファ『いいじゃないのよ~! 約束しなさい~!』
クラウド『わかった…… 約束するよ。』
ティファ「思い出してくれたみたいね、約束。」
クラウド「俺は英雄でも有名でもない。約束は…… 守れない。」
ティファ「でも子供の頃の夢を実現したんでしょ?
ちゃんとソルジャーになったんだもの。だから、ねっ!
今度こそ約束を……」
その時バレットがやって来て
バレット「おいちょっと待て! ソルジャーさんよ。約束は約束だからな!
ほら、金だ!!」
クラウドはバレットのへそくりの1500ギルを受け取った
クラウド「こんな、しけた報酬冗談じゃないな。」
ティファ「え? それじゃ!!」
クラウド「次のミッションはあるのか?
倍額の3000で受けてやってもいい。」
バレット「何だと!……!」
ティファ「いいからいいから。
ヒソヒソ……
(人手に困ってるってのが本音でしょ?)」
バレット「う…… ぐぅ……
(残りのへそくりはマリンの学費だぞ……)」
バレットはちょっと考えて
バレット「2000だ!」
ティファ「ありがとう、クラウド。」
こうしてアバランチの傭兵を続ける事となったクラウドであった
そして翌朝
ティファ「おはよ! クラウド! 良く、眠れた?」
クラウド「ティファが側にいたから…」
ティファ「それどういう意味かしら。今回は私も行くね!」
バレット「標的は伍番魔晄炉だ。まず、駅へ行く。
詳しい作戦は列車の中でな。」
ティファ「マリン、お店頼むね!」
マリン 「うん!! お仕事頑張ってね。」
さて、外に出るとひとりの若者がスラムを旅立とうと
住民に惜しまれつつ? 出発するところであった
彼の名はジョニーと言う……
ジョニー「俺、男を磨く旅に出っからよ! これで、さよならだぜ!」
ジョニー-七番街スラムの住民。男を磨こうと旅に出るが、さて……
駅に行くとアバランチのメンバーが待っていた
クラウド達は列車に乗り込み次なる目的地伍番魔晄炉へと向かう
列車 バレットは一緒になって座っている仲間達を見ると
バレット「おう! こいつぁ、貸し切り列車じゃねえぞ!!
散れ散れ!!」
慌てて仲間達は走り去る
その騒ぎに夕べも居合わせていたサラリーマン(神羅の課長)は
神羅課長「また危ない人達と一緒か。私もつくづく運が無いな。」
ところで、バレットは何やら不審そうに
バレット「んっ~!? んんっ~!?
おいっ!! 随分すいてやがるな。どうなってる?」
神羅課長「ヒッ!! き、君達みたいなのがいるから
す、すいてるんじゃないか…」
バレットはその言葉に怒りを感じ、思わず近くを叩きつける
神羅課長「ヒ~~ッ!!
ニュ、ニュースぐらい見てるだろ? アバランチの爆弾テロ
予告があったんだ。こんな日にミッドガルに出かけるのは
仕事熱心な私達サラリーマン神羅ぐらいさ。」
バレット「きっさま、神羅のもんか?」
神羅課長「わ、私は暴力には屈しないぞ~
こ、この席だって、譲らない。」
バレットの態度を見かねてティファが
ティファ「バレット!!」
バレット「チッ!! あんた、ついてるぜ。」
ティファが神羅課長に謝り何とかその場は収まったようだ
クラウド「さて、どうするんだ?」
バレット「ケッ! 落ちついた野郎だぜ!
こっちのペースが狂っちまう…」
その時列車が揺れ、動き出した
ティファ「列車の接続がすんだみたい。出発するわ。」
クラウド「今回の作戦について聞かせてくれ。」
バレット「ヘッ! 仕事熱心だな。クラウドさんよ!
仕方ねえ…… せ、説明してやるっ!
ジェシーから聞いただろうが上のプレートとの境界には
検問がある。列車ごとIDスキャンするシステムだ。」
ティファ「神羅自慢のね。」
バレット「今までの偽IDはもう使えねえ…」
その時アナウンスが響いてきた……
「本日も御乗車ありがとうございます~
4番街ステーション到着予定時刻は
ミッドガル時11時45分~」
ティファ「ID検知エリアまであと3分ってところね。」
バレット「よし、あと3分経ったら列車から飛び降りる。いいな!」
そう言うとバレットは座席に座り込んだ
バレット「ヘッ! 元ソルジャーの物知りさんよ!
伍番魔晄炉の辺りは、詳しいんだろ!
お前さんの知ったかぶり説明が聞きてえもんだな!」
ティファ「クラウド、こっち! 路線図モニタでも見てよ。
あら、もう何度も見たって顔してるのね。ま、いいわ。
もっと側に来て。」
と、その時警報が鳴り響いた!!
ティファ「おかしいわね。ID検知エリアはもっと先なのに。」
「A式非常警戒体制を発動。列車内に未確認のIDを検知。
各車両緊急チェックに入ります。
繰り返します。
A式非常警戒体制を発動。列車内に未確認のIDを検知。
各車両緊急チェックに入ります。」
ティファ「どういう事?」
バレット「どうなってんだ!!」
ジェシー「まっずい事になっちゃったわ。説明は後。
早く! こっちの車両に!」
バレット「チッ! しくじりやがったな… 行くぜ! モタモタすんな!」
バレット達は急いで前の車両へと走り出す!!
車内では既に警戒体制が引かれている!!
「車両1に未確認ID検知。ドアロック準備。
警戒レベル1。車両1をロックします。
車両1ロック完了。警戒レベル2に移行。」
ビッグス「急ぐんだ!」
ウェッジ「扉ロックされるっす!」
ジェシー「とにかく、走って! 作戦2にチェンジよ!」
「車両2に未確認ID検知。ドアロック準備。
警戒レベル2。車両2をロックします。
車両2ロック完了。警戒レベル3に移行。」
バレット「よし!! 抜けたか!?」
ジェシー「まだよ、すぐ次の検知が始まるわ。バレたらアウトよ!
でも、心配しないで。前の車両に順々に移っていけば
やり過ごせるわ!」
「未確認IDは列車前半部に移動中。
現在位置の再確認に入ります。
車両3に未確認ID検知。ドアロック準備。
警戒レベル3。車両3をロックします。
車両3ロック完了。警戒レベル4に移行。
車両4に未確認ID検知。ドアロック準備。
警戒レベル4。車両4をロックします。
車両4ロック完了。警戒レベルMAXに移行。」
車内の警戒体制が次々と引かれる中
何とか先頭の車両まで走り抜ける事が出来た
ところで、この列車にはスラムで旅立ったジョニーの姿もあった
ジョニーはスラムとの別れに涙ぐんでいるところであった……
ジョニー「さらば、グッバイ、アディオス! ミッドガル!!」
で、何とか警戒を抜ける事が出来たバレット達は
バレット「よしっ!! 上手くいったな! おう!! こっちだ!!
行くぜ!! こっからダイブだ!!」
ティファ「……怖いね。」
クラウド「今さら何だよ。大体、どうして来たんだ?」
ティファ「だって……」
バレット「おふたりさん時間が無いぞ!
おう!! 時間がねえ!! ……何とかしてやれ!」
ティファ「うん!! 決めた! よっく、見てて。私、飛ぶから!!」
そう言うとティファは列車から飛び降りた!!
クラウド「先に行くが構わないな?」
バレット「リーダーは最後まで残るもんだ。いいから、早く行け!
おう! ケガすんなよ! 作戦はこっからが本番だぞ!」
そうしてクラウドも飛び降りる!!
バレットは残ったメンバーに
バレット「じゃな! 後始末は頼んだっ!」
バレットも後を追う!!
何とか無事に3人は飛び降りたようだ
螺旋トンネル
バレット「よし、ここまでは予定通りだ。しかし、伍番魔晄炉に
辿り着くまでは油断は禁物だぜ。ビッグス、ウェッジ、
ジェシーが先行している手筈になってる。行くぞ、お前ら。
さぁて、伍番魔晄炉はこのトンネルの奥だ!」
そうして伍番魔晄炉を目指して進むのであった
途中、光の帯がクラウド達の行く手を阻んでいた
クラウド「この光の帯は、神羅の警報センサー。
これ以上、奥には進めないな。」
そうしてクラウドは横にあるダクトに目を向けた
バレット「か~っ、狭っちい穴だな。
ここからプレートの下に潜れってのか?
たまんねぇぜ。どうする、クラウドさんよぉ?」
クラウドは中の様子を見てみると
ティファ「……ダクトの中に足掛かりになりそうな物は無いわね。」
クラウド「ああ。このダクトを降りたらここには、戻って来れないぞ。」
バレット「のんびりしている暇はないぜ。いつ神羅の奴らに俺達の行動が
ばれないとも限らない。クラウド、行くしかないぜ。」
クラウドはその言葉に頷き、行く事にした
バレット「でもよ、ゾッとしねぇな。」
こうして地底を走る螺旋トンネルからダクトを通じて
まずは四番街プレートの内部へと侵入した
そこには先程列車に残っていた他の仲間達が既に到着しており
魔晄炉爆破のための準備をしていた
ウェッジ「クラウドさん、こっちっす。
伍番魔晄炉はこの梯子の先っす。」
更に奥に進むとジェシーが作業をしていた
ジェシーはクラウド達の姿を見ると
伍番魔晄炉 ジェシー「ごめんなさい。列車のIDスキャンのミス、私のせいなの。
クラウドのIDカード。私の特別製にしたから……
あんな事に。
心を込めたつもりだったんだけどね。失敗しちゃった。
今度はもっとましな物プレゼントするわ。
先にアジトに帰って研究開発に励んでるからね。」
ビッグス「俺達は、これで引き上げる。アジトで落ち合おうぜ。
クラウド、伍番魔晄炉の爆破、よろしく頼むぜ!」
仲間達の作業のお陰で何とか魔晄炉に侵入する事が出来た
しかし魔晄炉を目の前にしてクラウドは再び目眩を起こし、倒れてしまった!!
クラウドの脳裏には何処か別の魔晄炉が映ってくる
そしてそこにはクラウドと
刀で斬られている男性を見つめているひとりの少女の姿がある
その少女の姿は…… 何とティファだ!!
ティファ『パパ……』
ティファの姿は今よりも随分若い
そしてティファの父と見られる男性が息絶えているのを見て
ティファ『セフィロスね! セフィロスが殺ったのね!
セフィロス…… ソルジャー…… 魔晄炉…… 神羅……
全部! 全部大キライ!』
そう言うとティファは側に落ちていた刀を拾って奥へと走っていく……
バレット「おい、しっかりしてくれよ!」
ティファ「大丈夫?」
クラウド「……ティファ。」
ティファ「ん?」
クラウド「い…… いや…… 気にするな。さあ、急ごう!」
どうやら幻覚だったようだ……
クラウドは気を取り直してバレットに作業を確認する
クラウド「わかってるさ。あんたは俺の見張りだろ?」
バレット「そういう事だ。ティファの幼馴染み……
それだけじゃ不安なんでな。」
そうして壱番魔晄炉と同じようにクラウドは爆弾をセットした
帰りは仲間達が確保してくれた別のルートで先を急ぐ!
途中、ロックされている扉に辿り着いたが
ティファ「3人同時にボタンを押せってジェシーが言ってたわ。」
ジェシーの指示通り行うとロックが外れ、更に先を急ぐ
バレット「こっちだ!」
が、その先には
バレット「神羅兵!? くそっ! どうなってんだ?」
クラウド「……罠、か。」
その時奥から現れたのは……
バレット「プ、プレジデント神羅?」
ティファ「何故、プレジデントがここにいるの?」
プレジデント神羅「ほほう。君達がアレかね。……何て言ったかな?」
バレット「アバランチだ! 覚えておけ!
お前はプレジデント神羅だな。」
クラウド「久しぶりだな、プレジデント。」
プレジデント神羅「……久しぶり? ああ、君がアレかね。
アバランチとやらに参加しているという元ソルジャー。
確かにその目の輝きは魔晄を浴びた者……
その裏切り者の名前は何といったかな?」
クラウド「クラウド、だ。」
プレジデント神羅「すまないがソルジャーの名前なんていちいち
覚えとらんのでな。せめてセフィロスぐらいにはなって
もらわんと。そう、セフィロス……
優秀なソルジャーであった。そう、優秀すぎる……な。」
クラウド「セフィロスだと……?」
バレット「んなこたぁ、どうでもいい!
もうすぐここはドッカン!! だぜ! ざまあみやがれ!」
プレジデント神羅「そうだな。
君達ウジ虫を始末するには高価すぎる花火ではあるが……」
バレット「ウジ虫だと!? 言うに事欠いて、ウジ虫だと!
貴様ら神羅は、この星を死に追いやろうとする寄生虫じゃ
ねぇか! その親玉である貴様が何を偉そうにホザく!」
プレジデント神羅「……そろそろ君達の相手をするのにも飽きたよ。
わしは多忙な身なのでな。もう、失礼させてもらうか。
今日は、会食の予定があるものでな。」
バレット「会食だと!? ふざけやがって!
お前には言いたい事がまだまだあるんだ!」
プレジデント神羅「君達の遊び相手は別に用意させてもらった。」
そうしてプレジデントが指示すると
ティファ「!? 何の音?」
バレット「な、何だこいつは!!」
プレジデント神羅「我が社の兵器開発部が試作した機動兵
『エアバスター』だ。君達との戦闘データは今後の開発の
貴重なサンプルとして利用させてもらうよ。」
クラウド「……機動兵?」
プレジデント神羅「では、失礼。」
そういうとプレジデントはさっそうと現れたヘリコプターに乗り込んだ
プレジデント神羅-神羅カンパニー創設者。今までの石炭に替わる新たなエネルギー
『魔晄』を実用化し、独占する事で今の神羅を築き上げてきた。
性格は合理的かつ冷酷で、神羅の利益を損ねる存在はどれだけの
犠牲を払おうと徹底的に抹殺する。
しかし表向きは紳士的な指導者のイメージを崩さない狡猾さも
兼ね備え、得意の演説で民衆の人気を買っている。
彼には一人息子がおり、後々は彼に神羅を託そうと
副社長のポストを与えて帝王学を学ばせている。
クラウド「待て、プレジデント!」
バレット「おい、クラウド! 取りあえずこいつをなんとかするぞ!」
ティファ「助けて、クラウド! これ、ソルジャーなの?」
クラウド「まさか! ただの機械さ。」
バレット「何でもいい!! ぶっ壊してやるぜ!」
襲ってくる神羅の機動兵!!
しかしクラウド達の奮闘により何とか撃破した…… が
爆発した影響でクラウドの側の通路が壊れ
クラウドは辛うじてしがみついたが、今にも落ちそうだ!!
バレット「もうすぐ爆発する! 行くぞ、ティファ!」
ティファ「バレット! 何とかならないの?」
バレット「どうしようもねえな。」
ティファ「クラウド! 何とかして生きて! 死んじゃダメ!
話したい事がたくさんあるの!」
クラウド「わかってる、ティファ。」
バレット「おい、何とかなりそうか?」
クラウド「………… 自分の心配でもしてろ!
俺はいいからティファを!」
バレット「……そうか。いろいろ悪かったな。」
クラウド「これで終わりみたいな言い方はやめてくれ!」
バレット「じゃ、後でな。」
と、その時爆弾が爆破し、その爆風でクラウドは吹き飛ばされてしまう!!
ティファは下を見ようと覗き込むが、バレットが危ないと抱え込む!!
クラウドは奈落の底へと落ちていった!!
そして…… 闇……"
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