それから数刻経ち、クラウドは悲しみの中、みんなに向かって
クラウド「みんな、聞いてくれ。
俺はニブルヘイムで生まれた元ソルジャーのクラウドだ。
セフィロスとの決着をつけるためにここまでやってきた。」
ティファ「……どうしたの?」
クラウド「俺は自分の意志でここまでやってきた…… そう思っていた。
しかし…… ……正直に話す。俺は自分が怖い。……俺の中には
俺の知らない部分がある。俺はセフィロスに黒マテリアを
渡してしまった。みんなが止めてくれなければエアリスを
この手で…… ……そういう自分が俺の中にいる。俺ではない
自分が。だから俺はもうこの旅をやめた方がいいのかも
しれない。とんでもない事をしてしまうかもしれない。でも、
俺は行く。5年前、俺の故郷を焼き払い、たった今エアリスを
殺し、そしてこの星を破壊しようとしているセフィロスを……
俺は許さない。俺は…… 俺は、行かなくてはならない。
……頼みがある。みんなも来てくれ…… るよな?
俺がおかしな真似をしないように見張っていてほしいんだ。」
ユフィ「アタシに任せな!」
クラウド「エアリスがどうやってメテオを防ごうとしたのかは
わからない。今となっては俺達にはそれを知る方法もない。
でも! まだチャンスはある。セフィロスがメテオを使う前に
黒マテリアを取り返すんだ。行こう。」
クラウドはエアリスの仇を討つためにも決意を新たにした
ティファ「セフィロスは…… どっちに行ったのかしら?」
クラウド「……うっ。」
クラウドの脳裏にセフィロスの姿が映し出された
ユフィ「ち、ちょっと! シッカリしてよ。」
クラウド「ああ…… セフィロスは言っていた…… 北を目指す……
雪原の向こうと……」
こうしてセフィロスを追い、北を目指して進むのであった……
谷を抜け、着いたところは一面銀世界の場所であった
さらに雪原を進んでいくとやがて小さな村に着いた
常冬の雪に覆われた村-アイシクルロッジ
北に近いせいなのか常に雪が降り積もっている村である
いつになっても春は訪れては来ないが
村人達はその寒さに耐え、ひっそりと生活している
ここではスノーボードが盛んな土地でもあり
最近ではそれを目当てに来る者もいるという
アイシクルロッジ クラウドは村を抜けてさらに北に行こうとしたが
村人に呼び止められた
男 「ダメダメ!! この先は、凄い下り坂なんだ。
危険だから、入らないでくれ!」
しかしクラウドはセフィロスを追うためには北に向かうしかない
せっかくの忠告だが、それを断って行こうとすると
男 「何だよ、人が親切に……
な、何だ向こうの奴らは? やばそうだぜ!」
クラウドは村人の視線の先を見ると
向こうから見慣れた兵士の姿と黒服の女性がやってくるところであった
イリーナ「いたわ、急いで!!」
神羅兵 「ハイッ!!」
イリーナ達はクラウドの元へと駆け込み
イリーナ「クラウド…… ハァ、ハァ。ここから先へは進ませないわよ!」
クラウド「この先に、何があるんだ?」
イリーナ「ヒ・ミ・ツ。そんな事は、どうでもいいの!
よくもワタシのボスを殺ってくれたわね!」
クラウド「ボス…… ツォンの事か? あれは俺達じゃない。
セフィロスが、殺ったんだ。」
イリーナ「いいえ、騙されるもんですか。」
クラウド「嘘なんかついてない…… セフィロスなんだ。」
イリーナ「いくら、白を切っても無駄よ。絶対、許せない!!」
クラウド「参ったな……」
イリーナ「口で言っても無駄なんだったら
体に聞いてもらおうじゃないの!」
神羅兵 「私達が、コイツを!」
イリーナ「いえ、私ひとりで十分よ!
私のパンチを避けられる筈がないわ。」
神羅兵 「えっ? ええ……」
イリーナはクラウドにパンチを繰り出した!!
クラウドはそれをわざと受け止めて、倒れた
イリーナに対する、ツォンの想いがこれで少しは晴れるならと……
イリーナ「何故? わざと、避けなかった…… どうせ、あの大氷河を
越えられる筈がないわ。何処かの家に放り込んでおいて!」
クラウドは気がつくと、何処かの民家に連れられてきたようだった
しかし誰もいないのか、辺りは静かである
クラウドはふと、ビデオが置かれているのに気付いた
数本のテープがあり、そのタイトルにクラウドは興味を引かれた
そして悪いとは思ったが、勝手にビデオを見る事にした
そして『(昔の)星の危機について』と書かれたビデオを再生した
そこではひとりの男が何やら機械を操っている
そしてその姿をじっと眺める女性も映っている……
『カメラは、これでよし! では、イファルナさん。
セトラの話をお願いします。』
男は女性に頼むと、女性は静かに話し始めた……
イファルナ『およそ2000年前、私達セトラの祖先はこの星の悲鳴を
聞いたそうです。最初に星の大きな傷口を見つけたのは
ノルズボルにいたセトラ達でした。』
『イファルナさん……
ノルズボルという土地は何処にあるのです?』
イファルナ『ノルズボルとは、この辺りの事です。
そしてセトラ達は、星読みを始めました。』
『イファルナさん、星読みとは、どういう事なのですか?』
イファルナ『……上手く表現出来ませんけど、星と対話する事なの
です…… 星は空から降ってきた何かと衝突して傷ついたと
語ったそうです。何千人ものセトラが力を合わせました。
星の傷を癒そうとしたのです…… でも、その傷はあまりにも
深く、星自身が長い年月を掛けて治す他はなかったのです。』
『古代種、いやセトラは星を治す特別な力を
持っているのですか?』
イファルナ『いえ、そういう力ではありません。星の上にあるもの
すべての生命力がエネルギーになるのです。セトラ達は必要と
されるエネルギーを絶やさぬためにも必死で土地を育てようと
したのですが……』
『ふむ、北の大空洞に近いこの地に雪解けの時期が来ないのは
星の傷にエネルギーが集中しているからなのか。』
イファルナ『ええ、傷の回復に費やすエネルギーは急速に土地を
枯れさせ… そして星は… 星はセトラにノルズボルから
離れるように進めたそうです… でも。』
イファルナの辛そうな姿を見て
『イファルナさん…… 少し休みましょう。』
イファルナ『大丈夫です… セトラ達が… 長年親しんだ土地から旅立ちの
準備をしていた時…… その時、その者は現れたのです!
その姿は、亡き母の… 亡き兄のものでした。
それぞれに過去の幻影を見せるのです。』
『北の大空洞に現れた、その者とは一体何者なのですか?
まるで見当がつかないのですが。』
イファルナ『それが星を傷つけた者です…… 空から来た厄災! 私達は、
そう呼んでいます。その者は親しげな顔でセトラ達に近付き…
欺き… そして…… ウィルスを… ウィルスを与えたのです。
ウィルスに侵されたセトラ達は心を失い……
そしてモンスターと化しました。その者は、
ノルズボルと同じように別のセトラの部族に近付き………
そしてまた… ウィルスを……』
『顔色があまり良くない……
今日はこれで終わりにしましょう。』
そしてビデオは切れた……
クラウドは次に『ウェポンとは?』というビデオを再生した
再び女性と、カメラの調整をしている男性の姿が映し出される……
『では、イファルナさん。ウェポンという名の者の存在について
語っていただけますか?』
イファルナ『はい、博士。博士がセトラだと誤解した者……
ジェノバと名付けた者こそが…… 空から来た厄災なのです。
その空から来た厄災を滅ぼす事を星が意識し始めました……
ジェノバが存在する限り、
星が自身の力で傷を完全に治す事が出来ないからなのです。』
『では、ウェポンとは星の意志が生み出した兵器と
いう事ですか?』
イファルナ『ええ、でも…… 実際にウェポンが使われた歴史が
ないのです。少数の生き残ったセトラ達がジェノバに
討ち勝ち、そして封印したのです。星はウェポンを
生み出しました…… しかし、使う必要がなくなったのです。』
『もう、この星にウェポンは存在していないのですか?』
イファルナ『ウェポンが消える事はありません。…この星の何処かで
眠っているのです。ジェノバを封印したといってもいつ、
蘇らないとも限りません…… 星の傷は完全に治って
いないのです。星はまだ、ジェノバを警戒しています。』
『ウェポンが眠っている場所は何処なのですか?』
イファルナ『私には、わかりません…… 星の声は……
もう、あまり聞こえないのです。時代は…… 変わりました。
星は…… きっと様子を見ているのだと思います。』
『……ありがとう、イファルナさん。
今日は、このくらいで……』
ここでこのビデオは切れた
セトラと空から来た厄災との戦い
そしてウェポン……
このビデオからかなりの情報を得る事が出来た
クラウドはふと、『プライベート』と書かれたビデオを見つけた
勝手に見ていいのかどうか迷ったが、見る事にした
そこには先程の人の娘の記録らしい
イファルナ『博士…… いえ、あなた何をしてるの?』
『あっ、ビデオを撮ろうと思っているんですよ。
でも、何だかビデオの調子が悪くて……』
イファルナ『何を撮るの? まだ、話していない事があったかしら?』
『いえ、そんな事ではないです。可愛いわが子を撮るんですよ。
この、眠っている顔がまた、とても可愛い~んです。』
イファルナ『もう、それならビデオより先にこの子の名前を
決めなくちゃ!』
『私はもう決めてますよ!
女の子だったらエアリス、これしかありません!』
イファルナ『もう、勝手な人ね…… でも、エアリスっていい名前ね!
ウフフ…… あなたの固い頭で考えたにしては
上出来じゃないかしら。』
『でしょ!? あっ、ビデオのテープがっ…………』
エアリス!? まさかエアリスの両親は……!?
クラウドは思わず残された最後のビデオを動かし始めた
イファルナ『あなた、またビデオ? この前撮ったばかりじゃないの!』
『………そう言わないで下さいよ。ワ、ワタシと……
ア、アナタのとっても可愛い娘なんですよ! 彼女のすくすくと
育っていく姿を残しておきたいと思いませんか?』
イファルナ『そんなに可愛がってばかりじゃ強い子に育たないかも
しれない…… エアリスは、普通の子とは違うんだから、
これから、どんな人生が待っているか……』
『そんな事言っちゃダメです! ワタシが、アナタとエアリスを
どんな事をしても守ります!! ア、アナタとエアリスは
ワタシの宝なんです。何があっても放しません!!』
イファルナ『あなた…… 私、今とっても幸せよ。
あなたに会わなければ私……』
そうしてふたりが抱き合い、口づけを交わそうとする時
ドアを叩く音がした
『もう、一体誰なんですか!? いいところで……
!!! あわわ…… 我が家のくつろぎの時間にまったく……』
イファルナ『クスクス…… ええ、そうね。は~い、今すぐ!!』
イファルナは夫である博士に軽く口づけをし
イファルナ『誰かしらね?』
そしてドアを開けると!!
イファルナ『あ、あなた達は!!』
そこに入ってきたのは
『クックックッ…… 捜しましたよ、イファルナ…… いや、
セトラ! それから、本当に久しぶりですね、ガスト博士!』
銃を構えた神羅兵と、そして宝条の姿であった
ガスト 『宝条君…… どうしてここが?』
宝条 『いやぁ、骨を折りました。あなた達が、ここにいる事ぐらい
とうにわかってたんですよ。でもね…… 2年間待ちました。
私は新しいサンプルが欲しかったんですよ……
クックックッ。』
ガスト 『……新しいサンプル? まさか、エアリスを!?』
宝条 『ほう、エアリスちゃんですか? いい名前だ……
クックックッ。』
ガスト 『くっ…… 私は神羅とは手を切ったのだ。
宝条君、帰ってくれたまえ。』
イファルナ『お願いエアリスは、関係ないわ!
私さえいれば、いいんでしょ?』
ガスト 『イファルナ!』
宝条 『私の実験には、あなた達、みんなが必要なんですよ。
ガスト博士、わかってくれますよね。
この星の運命を変える事が出来るんですよ!』
ガスト 『大丈夫だイファルナ! ワタシは、こんな奴らには負けない!』
宝条 『無駄な抵抗はしないで下さいよ。
大事なサンプルに傷をつけたくはないですからね。ん?
おかしなカメラがあるな。おい、壊してしまえ!』
神羅兵はカメラに向かって銃を放つ
画面が突然暗くなり、音声だけが残った……
宝条 『丁寧に運ぶんだぞ!! クックックッ……』
その時、ガスト博士は宝条に体当たりをする!!
宝条 『な、何をするんだ博士!?』
ガスト 『イファルナ! エアリスを連れて逃げるんだ!!』
突然響く銃声……
イファルナ『キャー、あなた~!!』
宝条 『まあいい…… 子供を忘れるんじゃないぞ! ほう、ビデオか?
古代種… ウェポン!? クックックッ…… 宝の山だな!
ありがとう博士…… クックックッ。』
ガスト-本名ガスト・ファレミス。長年神羅の科学部門の責任者として活躍。
20数年前、2000年前の地層から古代種の死体らしきものを発見、
ジェノバと名付け、古代種を蘇らそうという『ジェノバ・プロジェクト』を
開始する。しかし後にジェノバが古代種でない事がわかり、また助手であった
宝条の暴走についていけずに神羅とは手を切り、逃げ出すようにミッドガルを
後にする。その後アイシクルロッジで古代種の生き残りイファルナと結ばれ
娘をもうけるが、宝条に見つかり殺害された。エアリスの実父である。
イファルナ-古代種の生き残りの女性。以前神羅に捕まっていたようだ。
アイシクルロッジでガスト博士と結ばれ、エアリスをもうける。
しかし神羅に娘共々捕らわれ、神羅の監視の元で数年を過ごす事になる。
今から15年前に神羅から逃げ出し、エアリスをエルミナに託すと
息を引き取った。
クラウドはあまりの出来事に言葉を失った
エアリスの出生…… そして悲劇……
神羅は何故人の幸せを踏みにじるのか
そして宝条の狂った妄想……
セフィロスが狂った一因として神羅の陰謀が絡んでいるのは確かである
クラウドは亡くなったエアリスのためにも
その両親の無念を晴らそうと決意する……
外に出ると既にイリーナの姿はなかった
ただ神羅兵が村の入り口を固めており
神羅兵 「この村は、しばらく閉鎖だ!」
クラウドは神羅兵に殴りかかろうとしたが
神羅兵 「やめるんだ、子供達がいるだろ!
う~む…… お前には、関係ないがここより更に北で何かが
始まるらしいんだ。本社から社長もいらっしゃる。
混乱を避けるためだ。我慢してくれんか?
悪く思うな、これも仕事なんだ。」
仕方なしに先程の男のところに行くと
男 「さっきは、逃げ出してしまって……
何かやばそうな感じだったんでな。それより、
向こうの坂を下るにはスノーボードでなければ無理だぜ。」
仕方がないので、この村でスノーボードと地図を手に入れ
坂に挑む事にした
男 「気を付けろよ!」
クラウドは華麗な滑りで坂をどんどん下っていく
途中の障害物も綺麗に抜け、最後は大ジャンプで坂を通過した
クラウド「う…… 何とか、飛び越したようだな。みんな大丈夫か?」
ティファ「ええ、何とか。」
ユフィ「だ~っ! たまんないよっ!」
クラウド「一体何処へ落ちたんだ?
あまり、大きなジャンプにはならなかったようだが……」
ティファ「そういえば、地図を貰ったわよね? 地図を見ましょうよ。」
クラウド「それにしても、もの凄い寒さだ。
あまり長くここにいると凍えてしまうな。」
クラウドは雪原を歩き始めた
クラウド「…見渡す限りの大雪原か… これは下手に歩けないな。
…目印でも付けながら、歩くとしよう。」
しかし、あまりの寒さにやがて足も動かなくなり
気を失ってしまった……
しばらくして気が付くと暖炉で暖められた小屋に寝ていた
クラウドは何処だろうと考えていると
「気が付いたようだな? 君達は、大氷河で倒れていたんだ。
無事だったのは奇跡だな。」
クラウドはすまなそうに頭をかく
ホルゾフ「私の名は、ホルゾフ。この地に住み着いて、もう20年だ。
これから先、来たに向かうつもりなら私の話を聞いて
いきなさい。立ち話も何だから、向こうの部屋に行こう。」
ホルゾフはクラウドを部屋へと案内する
ホルゾフ「君達は絶壁に挑んだ男達の話を聞いた事があるかい?
この地には、大昔に何かが空から降ってきたという言い伝えが
残っているんだ。どうやら、その時に大地が盛り上がって
出来たのがこの絶壁らしい。30年前、私は友人ヤマスキーと
絶壁の向こうを見るためにあの険しい壁に挑んだ。しかし、
私らは無知すぎた。ある程度の寒さは予想していたが……
あの絶壁には、すさまじい寒気が嵐のように渦巻いて
いるんだ。寒気が体温をどんどん奪っていく。私の下を
登っていたヤマスキーは自分でザイルを切って…… 私は、
それに…… 気付きもしなかった…… 以来私は、この地に
移り、絶壁に挑み続け、同じ仲間に注意と、ほんの少しの
休息を提供しているんだよ。もし、あの絶壁を登るつもりなら
注意する事が2つある。1つ目は雪に覆われて見つけにくく
なっている登山ルートをよく確認する事。2つ目は絶壁の
途中の棚に着いたら必ず下がった体温を回復させる事。
わかったかい? ここに来るまで、かなり体力を使ったんじゃ
ないのかい? 少し休んでから出発しなさい。」
ホルゾフ-大氷河とガイアの絶壁との間に休息小屋を建てて、絶壁に挑む者達への
休息と注意を与えている。彼もまた絶壁に挑んだ男であった。
ホルゾフの好意に甘える事にし、しばし休みを取って出発する事にした
小屋の外では仲間達が集まっており
これからの事について思案しているようだった
バレット「ちょっとよ、考えたんだけど聞いてくれねぇか?」
クラウド「何だ?」
バレット「……こういう風景を見てるとよう、自然って奴はホント、
すげぇんだなって思うんだ。こんなところに住めって
言われたらオレは、迷わず勘弁してくれって答えるぜ……
でも、もし住む事になったらきっと、いろいろ工夫して
居心地良くしようとすると思うんだ。そんな人間の工夫の
行き着いたところが …………ミッドガルなのか。
そんなふうに考えちまうと神羅の何もかもが悪いとは
言えなくなっちまう…… うぉぉぉおおお!!
オレとした事が、何てこった! 神羅が悪くないだぁ!?
こんなところに立ってるとよう……
星はオレ達の味方じゃねえって気がしてこねえか?
もちろん敵なんかじゃねえけどよ。
なんつうか、人間なんか相手にしてねえっつうか……」
ユフィ「う~、こんな寒いところもう、耐えられない!!」
ティファ「こんな吹雪なんて、へっちゃらよ! そうでも言ってないと……
もう……」
シド「クッソ~ィ! 空を飛べればよ、
絶壁なんてヒュ~~ッなのによっ!」
ヴィンセント「絶壁の向こうには何があるのか……」
レッドXIII「絶壁登りきったらどうなってんのかな? 見たいな~」
ケット・シー「これ、秘密情報ですけどな。
ルーファウスさんも間もなく到着しまっせ。」
仲間達はだんだん寒さに震え始めた
クラウド「俺達がルートを確保する。後から来てくれ。」
こう言って先へと進む事にした
大昔に何かが落ちた事により出来た大きな壁-ガイアの絶壁
すさまじい寒気に覆われた難所で、数々の登山者の命を奪ってきた
この絶壁の向こうを見た者は未だいないと言う……
果たして、何があるのであろうか……
北に向かうと、なるほど高い絶壁が立ち塞がっている
先程のホルゾフの忠告に従い、慎重にルートを確保して絶壁を登り始めた
そして途中の洞窟を進んでいくと
ガイアの絶壁
「うっ…… うわ~~っ!!」
向こうの方で黒マントの男が蠢き、そして倒れた
慌てて駆け寄っていくと既に息はなかった
一体この先では何が起きているのか?
そういう思いで先を急ぐと
目の前が開き、そして絶壁の向こう側が見えてきた
そして見えたものは……
巨大なクレーターの中心から吹き出る、白い噴煙であった
それは激しい音を立てながら止む事なく吹き出している
それは竜巻状に吹き荒れている、星のエネルギーである……
クラウド「大昔に出来たクレーターか。かつて空から何かが落ちてきて
ここにぶつかった…… 星に傷が出来たんだ。」
ティファ「この傷を治すためにたくさんのエネルギーが
ここに集まっているのね。」
クラウド「セフィロスはあの大切なエネルギーを奪ってメテオを
使おうとしている。今度は、この程度の傷ではすまない……」
クラウドはクレーターの底-大空洞に降りていく
そこにはまたもや黒マントの男が倒れていた
北の大空洞 黒マント「……セ…… セフィ…… ロスのも… と…… へ…」
一体黒マント達はこうまでして何をしに行くのであろう……
クラウドは更にクレーターの中心へと進む
ティファ「セフィロスと決着を付けるときが来たのね。私もセフィロスの
せいでいろいろ無くしたわ…… 急ぎましょう!」
そして奥に進むと
クラウド「あれは!!」
クラウドの目に巨大な空飛ぶ船が映る!!
神羅の飛空艇である
飛空艇 ルーファウス「遂に見つけたな。」
スカーレット「キャハハハハ! キャハハ…… ハハハ…… ハァ……
ハァ…… ほんと、すっごいわね……」
ハイデッカー「まさにプレジデントが捜し求めた約束の地!!」
ルーファウス「だが、手に入れるのは私だ。悪いな、親父。」
飛空艇にはルーファウスを始めとする神羅の幹部と
そしていつの間にかタークスによって捕らえられている宝条の姿もあった
宝条 「クックックッ…… あの場所は誰の物にもならん。
……リユニオンの終着点。……みんな集まれ、か。
セフィロス…… 会えるのかな?」
宝条は怪しく笑っていた……
さて、クラウド達は更に奥へと急いでいく
奥には何人かの黒マントの姿も見えるが、既に虫の息である
黒マント「うっ、うわ~っ。」
黒マント「…グ…… フ……ッ ……セフィ… ロ… ス…」
更に目にするのはたくさんの黒マントの行列であった
しかし、何人かは力尽きて倒れている
そして…… とうとう再びその姿を目にした……
それは、倒れた黒マントの者達に冷酷な言葉を与えて命を奪っていく
セフィロス「お前達は、もう終わりだ…」
クラウド「セフィローーース!! ここまでだ!」
セフィロス「そう、ここまでだ。この身体の役目はな。」
セフィロスは意味深げな言葉を言うと突然
クラウド「消えた!?」
ティファ「近くにいるかもしれない……」
辺りを伺うクラウド達に何かが聞こえてくる……
『我らの役目は黒マテリアを主人の元へ運ぶ事。』
クラウド「……我ら?」
ユフィ「せっかくヤる気になってたのに!」
バレット「逃げられちまったのか?」
『ジェノバ細胞を持つ者達……』
クラウド「主人は……」
『もちろん…… セフィロス。』
その声はクラウドの問いに答え、そしてあざ笑った
『クックックッ……』
突然セフィロスの姿が現れ、クラウドに突進してきた
そしてその姿は三度ジェノバへと変化して襲いかかってくる!!
辛うじて倒すと、またもやジェノバの一部が蠢いていた
クラウド「ジェノバ細胞…… ……なるほどな。そういう訳か。
ジェノバはリユニオンする、か。」
ティファ「セフィロスじゃない!?
今まで私達が追ってきたのはセフィロスじゃなかったの?」
クラウド「説明は後だ。今はセフィロスを倒す事だけを考えるんだ。」
ティファ「でもセフィロスは……」
クラウド「セフィロスは、いる。本当のセフィロスはこの奥にいるんだ。
どうしようもなく邪悪で、どうしようもなく残忍……
しかし、途方もなく強い意志をこの星の傷の奥底から
放っている。」
クラウドはジェノバが落としていった物-黒マテリアを手に入れた
クラウド「……黒マテリアは俺達の手に戻った。後はセフィロスを倒せば
すべてを終わらせる事が出来るんだ。」
ティファ「黒マテリアは、この先もって行かない方がいいわ。
誰かに預けたらどう?」
ユフィ「な、何だよ!? セフィロスじゃなかったって訳?
アタシ、こんな化け物についてきたのかい?」
バレット「セフィロスか…… 訳のわからねぇ奴だな。」
ケット・シー「黒マテリアは勘弁しとくなはれ。」
シド「くっ、黒マテリアなんてオレ様には、似合わねぇよ。」
ヴィンセント「黒マテリア…… お前が持っていてはどうだ?」
クラウド「自信がないんだ……」
レッドXIII「気を付けてよクラウド。」
クラウドは考えた末、バレットに預けた
バレット「おっと! 責任重大だぜ。」
クラウド「誰にも渡さないでくれ。頼んだぞ。」
ティファ「セフィロスを追いかけましょう!!」
クラウド「俺達は先に行く! みんなは待機していてくれ。」
バレット「黒マテリアは、オレに任せとけ!
何があっても、ここでじっとしてるからよ。」
そして更に奥に進むと、突然白い光に包まれた!
ティファ「何これ? どうしたの?」
クラウド「落ち着くんだ、ティファ。セフィロスが近くにいるんだ。
何が起こっても不思議じゃない。」
しばらくして白い光が弱まり、クラウド達の目の前に思いがけない風景が映る……
ティファ「ニブルヘイム……」
ユフィ「でも、どうしてニブルヘイム? 絶対変だよ、これ!」
クラウド「これはセフィロスが創り出した幻覚さ。俺達を混乱させようと
しているんだ。大丈夫。幻覚だとわかっていれば
何も怖くはない。さあ、このまま通り抜けよう。」
ティファ「そうよね…… あっ!!」
ティファの指す方にセフィロスが現れた!
しかし、何か感じが違うようだ
セフィロスはクラウド達に気付く事もなく、誰かを連れてきた……
セフィロス『さあ、行こうか。』
何処かで聞いたセリフ……
と、そこに神羅兵と若いソルジャーがやってきた
そうだ、5年前のニブルヘイムの出来事ではないか!
しかし、そのソルジャーはクラウドではなかった
ユフィ「おろ~っ! クラウドがいないよ。」
ティファ「やめて…… セフィロス。」
クラウド「くだらない……」
と、突然セフィロスが笑い出し、セフィロス達の姿が消えた
ユフィ「アタシ、幻覚なんて嫌だよ。早く元の世界に帰ろ!」
ティファ「クラウド…… これは幻覚なんだから。
気にしちゃダメなんだから……」
何故か、ティファはひどく脅えている
一体ティファは何を脅えているのか……
と、再び白い光が辺りを覆った……
クラウド「今度は…… 何だ?」
ティファ「もうやめてっ!!」
ユフィ「うひゃ…… こんなに凄いとは思わなかったよ……」
それは… セフィロスによって村が壊滅させられた風景だった……
クラウド「……これは5年前現実にあった風景だ。けれども…… きっと、
あの神羅屋敷から出てくるのは俺じゃない。また、くだらない
幻覚を見せようって気なんだ。ほら…… 言った通りだろ?」
クラウドの言う通り、屋敷から出てきたのは先程のソルジャーであった
そして5年前の出来事を映し続ける
ザンガン『あっ、あんたか! あんたは正気なんだろうな?
それならこっちに来て手伝ってくれ。』
ティファ「こんなの…… 見たくない。クラウド…… 見ちゃだめよ。」
ティファは更に脅え、そしてクラウドに何か訴えそうな雰囲気で伝える
ザンガン『俺はこの家を見てくる。あんたはそっちの家を!』
目の前はなおも止む事なく映し出される
クラウド「……どうしたんだ、ティファ? さっきも言っただろ?
幻だとわかっていれば何も怖くない。」
ユフィ「お、おい、アンタ! だいじょ~ぶかよ!? あ、幻かぁ!
でも、ちょっと生々しいなぁ!」
クラウド「セフィロス! 聞こえてるんだろ! お前が言いたい事は
わかった! 5年前、ニブルヘイム。そこに俺はいなかった。
お前が言いたいのはそういう事なんだろ?」
セフィロス「理解してもらえたようだな。」
突然、目の前にセフィロスが現れた
クラウド「お前が言いたい事はな。俺を混乱させたいんだろう?
しかし…… こんな物を見せられても俺は何とも思わない。
何故なら俺は覚えている。この炎の熱さを…… 身体の……
心の痛みを!」
セフィロス「さて、それはどうかな? お前は人形…… 心など
持たない…… 痛みなど感じない…… そんなお前の記憶に
どれほどの意味がある? 私が見せた世界が真実の過去。
幻想を創り出したのは…… お前だ。」
ユフィ「クラウド……」
ティファ「クラウド……」
セフィロス「……理解出来たかな?」
クラウド「理解する気なんかない。が、一つ聞きたい。何故……
こんな事をする?」
セフィロス「クックックッ…… お前には本来の自分を取り戻して
もらいたいのだ。そしていつかそうしたように黒マテリアを
私に…… それにしても失敗作だと思われたお前が一番役に
立つとは…… 宝条が知ったら悔しがるだろうな。」
クラウド「宝条!? 俺と何の関係がある!」
セフィロス「お前は…… そう、5年前だ。ニブルヘイムが炎の包まれた
その後に宝条の手で創り出されたのだ。ジェノバ細胞の
驚くべき生命力、能力と魔晄の力が創り出した人形。
セフィロス・コピー・インコンプリート。ナンバリング無し。
それがお前の真実。」
ティファ「クラウド…… 相手にしちゃだめよ…… 耳を塞ぐの!
目を閉じるの!」
クラウド「どうしたんだ、ティファ? 俺は全然気にしてない。
……というか、途中から聞いていなかった。」
ティファ「宝条に創り出された? そんなの嘘に決まってるわ。
だって、私達にはあの思い出があるじゃない?
子供の頃、星が綺麗な夜……」
セフィロス「クックックッ…… ティファよ。
その言葉とは裏腹に、お前は何を脅えている? フム……
お前の心をここに映し出してみようか?」
ティファは思わず視線を逸らす
セフィロス「クックックッ…… 都合が悪いそうだ。」
クラウド「……ティファ? セフィロスが正しいのか?」
ティファ「クラウド……」
クラウド「何をそんなに恐れているんだ? 俺の事なら大丈夫。俺が
どんなに混乱していてもセフィロスの言葉なんて信じない。
確かに俺は自分自身がわからなくなる事がある。
記憶だってあやふやな部分がたくさんあるんだ。
でも、ティファ。ティファは言ってくれただろ?。
『クラウド、久しぶりね』って。ティファのその言葉がいつでも
俺を支えてくれる。俺はティファの幼馴染みなんだ。
俺はニブルヘイムのクラウドなんだ。どんなに自分が
わからなくなってもそれだけは真実。だからティファ……
そんなに脅えないでくれ。
誰のどんな言葉よりもティファのその態度に俺は……」
ティファ「ち、違うの、クラウド……」
クラウド「何が違うんだ? 俺は……
ティファの幼馴染みのクラウドじゃないか?」
ティファ「そういう意味じゃない…… でも、上手く言葉に出来ない……
クラウド、ほんの少しでいいの。時間を…… 時間を頂戴。」
セフィロス「クラウド…… ティファを責めるな。私が説明してやろう。
他人の記憶に合わせて自分の姿、声、言動を変化させるのは
ジェノバの能力だ。お前の中のジェノバがティファの記憶に
合わせてお前を創り出した。ティファの記憶に登場する
少年達…… その中にはクラウドという名の少年がいたのかも
しれないな。」
ティファ「クラウド…… 何も考えないで。お願い……」
セフィロス「クックックッ…… 考えろ、クラウド。……クラウド?
クックックッ…… これは失礼。
お前には名前などなかったな。」
クラウド「黙れ…… セフィロス。」
セフィロス「まだわからないのか? ならば…… 村からニブル山へ
出発する時写真を撮ったのを覚えているか? ……ティファ、
覚えているな? ……クラウドは…… 知る筈もないか。
さて…… 写真はどうしたかな? ……これか。
……見るか? なかなか良く撮れている。」
ティファ「クラウド…… だめ……」
クラウド「俺は…… 写っている筈だ。もし、写っていなくても心配ない。
ここはセフィロスが創り出した幻想の世界。」
クラウドはセフィロスの持つ写真を覗き込んだ
そこには、帽子を被ったティファと
長剣を携えたセフィロス
そして……
クラウドとは似つかない、黒髪のソルジャーが写っていた……
クラウド「……やっぱりな。この写真は偽物なんだ。真実は俺の記憶の
中にある。……5年前、俺はニブルヘイムに帰った。
魔晄炉調査が任務だった。16歳だった。村は全然変わって
いなかった。俺は何をした? そうだ…… 母さんに会った。
村の人達に会った。そう、ティファの部屋に入ったんだ。
そこで俺は…… ピアノを弾いた! タンスを調べた!
ティファに来た手紙を読んだ! 一泊してからニブル山の
魔晄炉へ行った。俺は張り切っていた。何故なら、その任務は
ソルジャー・クラス1STになって初めての任務で……
……ソルジャー・クラス1ST? ……ソルジャー?
俺はいつソルジャーになったんだ? ソルジャーってどうやって
なるんだ? 何故…… 思い出せない? 俺は…… 俺は……
そうか…… ……悩む事はなかったな、何故なら俺は……」
ティファ「……クラウド?」
クラウド「行こう、ティファ。俺は…… 大丈夫だ。」
クラウドは正気を取り戻したようだが
何か…… おかしい……
それにしても、いつの間にかセフィロスの姿が消えていた……
そして一方、ルーファウス達は約束の地と思われる場所に到着していた
スカーレット「すっご~い! これ、ぜ~んぶマテリアだわ!」
ルーファウス「外は豊富な魔晄。そして中心部はマテリアの宝庫。
これぞ当に約束の地だな。」
宝条 「約束の地など存在しない。伝説…… 言い伝え……
ばかばかしい。」
ルーファウス「想像していた通りの物がここにある。それで良いでは
ないか? そのカタさが二流科学者の限界だな。」
突然、地面が揺れだした
ルーファウス「どうした!?」
スカーレット「壁の中よ! 何か入ってる! 動いてる!」
マテリアで出来た壁の中に、何やら巨大な物がいた!
宝条 「ウェポン…… ……本当にいたのか。信じてはいなかった。」
ルーファウス「何だと言うのだ?」
宝条 「……ウェポン。星が生み出すモンスター。
星の危機に現れてすべてを無にする……
ガスト博士のレポートにはそう記されていたな。」
ルーファウス「そんなレポートは見た事がない。……何処にある?」
宝条は薄笑いを浮かべ、自分の頭を指さし
宝条 「ここだ、ここ。」
ルーファウス「君は隠し事が多いな。」
さて、今度は残されたバレット達に場面が変わる
バレット「クラウド達、大丈夫なのかよぅ? しかし、何だよな。
こんなちっぽけな黒マテリアが星を滅ぼすなんてよ……」
突然、バレットの視界が途絶えた
バレット「な、何だ? お前ら、今のは何だよ! あ、あれっ!?
み、みんなっ!! ここ、何処なんだよっ!
何処行っちまったんだよっ!」
その時、ティファが駆け込んできた
ティファ「良かった!! バレット、ここにいたのね!」
バレット「ティファ!! 何か様子が変なんだよ!
真っ暗になっちまってみんないなくなっちまった!」
ティファ「ね、みんなが待ってるの! クラウドが大変なの!
お願い、来て! 私達を助けて! あっちなの!」
バレット「お、おう!
何だかわからねえが、とにかく行けばいいんだな!」
バレットは走っていった
そして……
「ウフフフフ…… 黒マテリア…… ……忘れるなよ。」
ティファの姿がセフィロスに変わる!!
再び、ルーファウス達に戻る
スカーレット「社長…… 何だかイヤ~な予感がするわ。」
ルーファウス「フム…… 一度飛空艇に帰ろうか。
本格的な調査の準備も必要だしな。」
その時、突然クラウド達の姿が現れた!!
スカーレット「ちょっと!! 何処から来たのよっ!」
クラウド「……さあ。ここはあんた達の手には負えない。
後は俺に任せてさっさと出て行け。」
ルーファウス「……お前に任せる? フッ…… 良くわからないな。」
クラウド「ここはリユニオンの最終地点。
すべてが終わり、また始まる場所。」
ティファ『クラウド!!』
ティファの言葉は何故かクラウドには届かない!!
そしてバレットがちょうどやってきて
バレット「おう! 助けに来てやったぞ!」
クラウドは何かを考え、そして頷き
クラウド「ありがとう…… バレット。黒マテリアは?」
ティファ『クラウド!!』
バレット「大丈夫だ。ちゃんと持ってるぜ。」
クラウド「ここからは俺がやる。黒マテリアを…… 俺に。」
ティファ『私の声、聞こえないの!?』
バレット「大丈夫か? じゃあ、これ。すげえプレッシャーだったぜ。」
ティファ『だめ、だめよ! クラウドを止めて!』
クラウド「ありがとう。後は俺が………… やります。」
セフィロス『さあ、黒マテリアを……』
セフィロスの声がクラウドの脳裏に響きわたる……
クラウド「待って下さい! もう少しだけ!
みんな、今までありがとう。それに…… ごめんなさい。
……ごめんなさい。……すいません。
特にティファ…… さん。本当にごめんなさい。
いろいろ良くしてくれたのに…… 何て言ったらいいのか……
俺、クラウドにはなりきれませんでした。ティファさん……
いつか何処かで本当のクラウド君に会えるといいですね。」
ティファはその言葉に思わず頭を抱える
宝条 「クックックッ…… 素晴らしい…… 私の実験がパーフェクトに
成功したわけだな。お前、ナンバーはいくつだ? ん?
入れ墨は何処だ?」
クラウド「宝条博士…… 俺、ナンバー、ありません。
俺、失敗作だから博士がナンバーをくれませんでした。」
宝条 「何という事だ……
失敗作だけがここまで辿り着いたというのか……」
クラウド「博士…… ナンバー、下さい。俺にもナンバーを下さい……」
宝条 「黙れ、失敗作め……」
クラウドはうなだれ、そして急に宙に浮き、上昇していった
恐らくセフィロスの力であろう
ルーファウス「あいつは…… 何者だ?」
宝条 「……5年前、セフィロスが死んだ直後に私が創った
セフィロス・コピーの一つ。ジェノバ細胞と魔晄、それに
加えて私の知識、技術、閃きが生み出した科学と神秘の生命、
セフィロス・コピー。
……失敗作だというのが気に入らないが、ジェノバの
リユニオン仮説は証明された。ジェノバは身体をバラバラに
されてもやがて一つの場所に集結し再生する。これが
ジェノバの『リユニオン』だ。リユニオンの始まりを私は
待った。5年が過ぎ…… コピー達は動き出した。
ミッドガルに保管していたジェノバのところにコピー達は
集まってくる筈…… しかし、私の予想は外れた。
そればかりか神羅ビルのジェノバも移動を始めた。
……私は天才だ、すぐにわかった。セフィロスの仕業だ。
セフィロスの意志はライフストリームで拡散する事なく、
セフィロス自身としてコピーを操り始めたのだ……」
クラウド『そうです、それが始まりでした。』
上昇したクラウドは洞窟の天井に座り、答えた
宝条 「コピー達は何処へ行くのだろう…… 私にはわからなかった。」
クラウド『俺自身にもわかりませんでした。』
宝条 「ただ、わかっていたのは目的地にはセフィロスがいる筈、
という事だ。」
クラウド『俺、セフィロスを追っていたんじゃなかったんです。
セフィロスに呼ばれていたんです。セフィロスへの怒りと
憎しみ。それは俺がセフィロスの事、忘れないようにと
セフィロスがくれた贈り物…… セフィロス? セフィロス?
俺、来ました。黒マテリア、持ってきました。
姿を…… 見せて下さい。何処にいるのですか?
ああ…… セフィロス…… やっと会えましたね。』
突然、天井の巨大なマテリアが崩れ、姿を見せた
その中にいるのは…… 眠っているセフィロスの姿だ!!
宝条 「見たか!! セフィロスだぞ! やはり、ここにいたのだ!
素晴らしい! ジェノバのリユニオンとセフィロスの意志の力!
ライフストリームに拡散する事なくここに集結したのだ!
クァックァックァッ!」
ティファ「宝条博士…… 何がそんなに嬉しいの? どういう事か
わかってるの……? クラウドは黒マテリアを持っているのよ!
セフィロスはメテオを呼んでしまうのよ!
みんな、みんな、死んじゃうのよ!」
ルーファウス「もう、何を言っても遅い……
そろそろ、ここから出た方が良さそうだ。
君達も一緒に来てもらおうか。いろいろと話が聞きたい。」
バレット「おい! クラウド! やめろっ! やめてくれ!」
ティファ「クラウドーーーーー!!」
みんなの叫びも空しく
クラウドはマテリアに浸かっているセフィロスへと黒マテリアを差し出す……
黒マテリアはセフィロスと共鳴するかのように怪しげな波動を出し
突然その辺り一帯が崩れ始めた
間一髪飛空艇に逃げ込み、辛うじて脱出したティファ達がそこで見たものは
おぞましい姿をした巨大な怪物が解き放たれる場面であった!!
そして…… ティファの意識は薄れていった……
そこは真っ暗なところであった
遥か遠くでクラウドがうずくまっている……
ティファ『クラウド… クラウド… ………どうしたらいいか
わからなかった。いつだってそうだった…』
クラウドはやがて立ち上がり、遠くへと歩いていく……
その後をティファが必死に追いかけようとするが
追いつけずにその場で座り込んでしまった
そしてティファはクラウドとの再会の場面を思い出しだした……
そこはミッドガルのスラムの駅であった
疲れ果て、座り込んでいる男に駅員が声を掛ける
その男は…… クラウドであった……
駅員 『どうしたね?』
クラウド『うう………』
駅員 『………可哀想に。』
クラウド『うぁああ……』
そこにちょうどティファがやってきた
ティファはその男が誰とは知らず、心配そうに声を掛けた
ティファ『大丈夫ですか?』
クラウド『う…… あ…… ああ。』
クラウドは介抱してくれる者が誰だったかわかったらしく
クラウド『あ…… ぁ…… ティファ……? ティファ……? ティファ!』
ティファ『………………? あ、クラウド!』
クラウド『その通り。俺はクラウドだ。』
ティファ『本当にクラウドなのね! こんなところで会えるなんて!』
クラウド『ああ、久しぶりだな。』
ティファ『でも、どうしたの? 具合悪そうだったけど。』
クラウド『……そうか? いや、そんな事はない。普通だ。』
ティファ『何年ぶりかな?』
クラウド『5年ぶりだ。』
ティファ『…………』
クラウド『どうした?』
ティファ『……本当に久しぶりね。』
ティファはクラウドの言動と動作が怪しかったのを覚えていた
何か質問する度、一瞬身震いするような動作を見せた事……
それに何より……
ティファ「本当は7年ぶりだった。
希望通りにソルジャーになった事。セフィロスの事件を
きっかけに辞めてしまった事。何でも屋をやっている事……
ニブルヘイムを出てからの事、いろいろ話してくれたけど……
でも…… ……ちょっと変だな。クラウドの話してる事、
少しずつ変だなと思ったの。知ってる筈の事知らなかったり、
知らない筈の事知ってたり…… 私はいろいろ確かめたかった。
でも、聞いたら…… クラウド、何処か遠くへ行ってしまい
そうで…… それは…… 嫌だった。 ……どうしたらいいか
わからなかった。時間が必要だって思ったの。
だから、クラウドにアバランチの仕事を紹介した。
側にいて、よく見ていたかったの。」
この数日後、クラウドはバレット達と壱番魔晄炉爆破に参加するのである……
そして…… ティファの目の前が白くなり、意識を再び失った……
Transcript: http://members2.jcom.home.ne.jp/ffstory/ff/index.html
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