七番街 ティファ「間にあった！ 柱が立ってる！」
クラウド「待て！ 上から…… 聞こえないか？」
エアリス「……銃声？」
上を見ると、バレット達と神羅兵との壮絶な銃撃戦が繰り広げられていた
そして、ひとり撃たれて落ちてきた
クラウド「大丈夫か？ ……ウェッジ！！」
ウェッジ「……クラウドさん… 俺の名前… 覚えてくれたっすね。
バレットさんが… 上で戦ってるっす。手を貸してやって……
クラウドさん…… 迷惑かけて、すいません …っす。」
クラウドはみんなの方を向き
クラウド「登るぞ！ エアリス！ ウェッジを頼む。」
ティファ「エアリス、お願い。
この近くに私達の店『セブンスヘブン』があるの。
そこにマリンっていう名前の小さな女の子がいるから……」
エアリス「わかった。安全な場所へ、ね。」
ティファは七番街の住民に
ティファ「ここは危険です！ みんな早く柱から離れて！
七番街から離れて！」
エアリス「大丈夫。ここは任せて。」
こうしてクラウドとティファは柱を巡る階段を登り始めた
途中、人が倒れている
ビッグス「クラウド…… やっぱり…… 星の命なんて……
どうなろうと…… 興味ないか？」
クラウド「それよりケガが……」
ビッグス「ありがとよ、クラウド。でも…… 俺はいいから……
バレットが…… 上で戦っている。手を貸してやってくれ……」
更に階段を上ると、今度はジェシーのうずくまる姿が……
ジェシー「あ…… クラウド…… 最後に…… 話せて良かった……」
クラウド「最後だなんて……」
ジェシー「もう、いい…… いいの……
私達…… 私達の作戦でたくさん…… 人、死んじゃったし……
きっと…… その報い…… ね。」
そして階段を上るとそこには奮闘しているバレットがいた
バレット「ティファ！ クラウド！ 来てくれたのか！
気を付けろ！ 奴らヘリで襲って来やがる。」
ティファ「早速来たわ！」
１台のヘリが現れ、黒服の男が飛び降りてきた
……エアリスを襲ったあの男だ！！
男はプレートを制御するコンピュータに行くと
レノ 「遅かった、と。このスイッチを押すと……
はい、おしまい！ 作業終了。」
ティファ「解除しなくちゃ！ クラウド！ バレット！ お願い！」
レノ 「そういう訳にはいかないぞ、と。
タークスのレノ様の邪魔は誰にもさせないぞっ……と。」
レノ－Leno 神羅の総務部調査課、通称「タークス」のメンバー。制服を自己流に着崩し
独特の口調で喋る彼はタークスの中でも際だった存在であり、
道化のような感じも受ける。
しかし能力は一流で、仕事に対しての独自の美学も持っており、
部隊のエースとして様々な任務を任されている。
クラウド達はレノに襲いかかるが、レノもかなり手強い
レノ 「壊せるものなら、壊してみろ、と。
そろそろ時間だぞ、と。」
レノは腕時計を見ると逃げ出した
どうやら爆発が近いらしい……
ティファは慌ててコンピュータに近づき何とか解除しようと試みる
バレット「くっ！ 時限爆弾か！」
ティファ「クラウド！ 止め方がわからないの。やってみて！」
クラウド「……ただの時限爆弾じゃない。」
その時ヘリが近づき、タークスの別の男が現れた
ツォン 「その通り。それを操作するのは難しい。
どこかのバカ者が勝手に触れると困るからな。」
ティファ「お願い、やめて！」
ツォン 「クックックッ…… 緊急用プレート解放システムの設定と
解除は神羅役員会の決定無しでは出来ないのだ。」
バレット「ゴチャゴチャうるせえ！」
バレットはヘリめがけて銃をぶっ放すが
ツォン 「そんな事をされると大切なゲストがケガするじゃないか。」
ティファ「エアリス！！」
ツォン 「おや、知り合いなのか？ 最後に会えて良かったな。
私に感謝してくれ。」
クラウド「エアリスをどうする気だ。」
ツォン 「さあな。我々タークスに与えられた命令は『古代種』の
生き残りを捕まえろ、という事だけだ。随分長い時間が
かかったが、やっとプレジデントに報告出来る。」
エアリス「ティファ、大丈夫だから！ あの子、大丈夫だから！」
エアリスが叫んだので、ツォンはエアリスをはり倒す！！
ティファ「エアリス！」
エアリス「だから早く逃げて！」
ツォン 「クックックッ！ そろそろ始まるぞ。逃げ切れるかな？」
ツォン－Zeng タークスのリーダー。タークスの指揮下は治安維持部門統括
ハイデッカーにあるが、実質的な指揮は彼が行っている。
現在かなり若手が占めているタークスの中で古参の部類に入り、
エアリスの捜索は昔から関わっていた。
そう言うとヘリは去っていく
そして柱に仕掛けられた爆弾が爆発を始めた！！
ティファ「上のプレートが落ちてきたらひとたまりもないわ。
急がなくちゃ！」
バレット「おい、このワイヤーを使って脱出出来るぜ！」
バレットは垂れ下がっているワイヤーを掴み
それを振り子のようにして柱から脱出しようとする……
ティファとクラウドも急いでバレットにしがみつき
プレートが落ちる間一髪で七番街を一気に飛び越えた！！
爆風が吹き荒れ塔が崩れていく……
そこにいた人々は何が起きたかを理解する前に次々と潰されていく……
ただこれをビルの社長室から冷静に眺めているプレジデントを除いて……
気が付くとクラウド達は六番街公園で倒れていた……
ここも、爆風の影響で至るところ破損されているが
彼らは運良くケガせずにすんだようだ
しかし、七番街へと続く道は瓦礫によって塞がれ
七番街もまた、跡形もなく崩れさっている
バレットはあまりの出来事に
六番街公園 バレット「マリン！ マリン！！ マリーーン！！
ビッグス！ ウェッジ！！ ジェシー！！
こん畜生！ こん畜生！！ こん畜生ーー！！！！
何だ、こんな物！ うおぉぉーー！！」
クラウド「おい、バレット！」
ティファ「バレット！」
バレット「うおぉぉーー！！」
クラウド「おい！」
ティファ「バレット、もうやめて…… お願い、バレット。」
バレット「うわぁぁぁーー！！！」
バレットは右手の銃を瓦礫に向かってぶっ放す…… が
バレット「クッ！ 畜生…… マリン……」
ティファ「……… ねぇ、バレット……
マリンは、マリンは大丈夫だと思うの。」
バレット「……え？」
ティファ「エアリスが言ってたわ。
『あの子、大丈夫だから』って、マリンの事よ、きっと。」
バレット「ほ、本当か！！」
ティファ「でも……」
バレット「ビッグス…… ウェッジ…… ジェシー……」
クラウド「……あの３人は柱の中にいた。」
バレット「わかってる…… でもよ、でもよ！ 一緒に戦ってきた仲間だ！
死んじまったなんて…… 思いたくねえ！」
ティファ「……七番街の人達も。」
バレット「ああ、酷いもんだぜ。オレ達を倒すために
街一つ潰しちまうんだからな。一体何人死んだんだ……」
ティファ「……私達のせい？ アバランチがいたから？
関係ない人達まで……」
バレット「違う！ 違うぜ！ ティファ！！ 何もかも神羅の奴らがやった
事じゃねえか！ 自分達の金や権力のために星の命を吸い取る
悪党ども！ その神羅を潰さない限りこの星は死んじまうんだ！
神羅を倒すまでオレ達の戦いは終わらねえ！！」
ティファ「……わからない。」
バレット「オレが言ってる事わからねえのか！？」
ティファ「違う…… わからないのは自分の…… 気持ち。」
バレット「お前はどうなんだ？」
クラウド「……」
クラウドは無言で歩き出した
バレット「おい！ あいつ、何処へ？」
ティファ「あっ！ エアリスの事！」
バレット「ああ、あの姉ちゃんか。何者なんだ？」
ティファ「……私もよく知らない。
でも、マリンの事をエアリスに頼んだの。」
バレット「そうだ！ マリン！！
ティファ。もう、後戻りは出来ねえんだ。」
バレットはそう言ってクラウドの後を追う
ティファも少し先程の惨劇の後を眺め、そして後を追った
バレット「クラウド！ マリンのところへ連れてってくれ！」
ティファ「エアリスを助けに行くのね？」
クラウド「ああ…… でも、その前に確かめたい事があるんだ。」
ティファ「何？」
クラウド「……古代種。」
クラウドの脳裏にある言葉がかすめる……
『我こそ古代種の血をひきし者。この星の正統なる後継者！』
クラウド「セフィロス……？」
そしてクラウドはうずくまる……
ティファ「大丈夫？」
バレット「しっかりしてくれよ！」
果たして古代種とは……
そしてクラウドの言うセフィロスとは……
クラウドは仲間に支えられ、クラウドはエアリスの家へと向かった
エアリスの家
エルミナ「クラウド…… だったね。エアリスの事、だろ？」
クラウド「……すまない。神羅にさらわれた。」
エルミナ「知ってるよ。ここから連れていかれたからね。」
クラウド「ここで？」
エルミナ「エアリスが望んだ事だよ……」
クラウド「どうしてエアリスは神羅に狙われるんだ？」
エルミナ「エアリスは古代種。古代種の生き残りなんだとさ。」
バレット「……なんだとさ、だって？ あんた母親だろ？」
エルミナ「……本当の母親じゃないんだよ。
あれは…… そう、１５年前… ……戦争中でね。
私の夫は戦地に行ってた。ウータイという遠い国さ。
ある日、休暇で帰って来るって手紙を貰ったから私は駅まで
迎えに行ったのさ。」
エルミナの脳裏に１５年前の風景が思い出されてくる
そこには駅で帰りを待つエルミナがいるが
列車からは待ちわびた人はいつまで経っても出てこない……
エルミナ「夫は帰ってこなかった。夫の身に何か遭ったんだろうか？
いや、休暇が取り消しになっただけかもしれない。
それから私は毎日駅へ行ったんだ。
ある日……」
駅へと着いたエルミナに映ったのは倒れ込んでいる母親と、その娘であった
母親はエルミナに娘を託すと息絶えてしまった……
エルミナ「戦争中はよくある風景だったね。エアリスを安全なところへ。
そう言い残して彼女は死んだ。
私の夫は帰らず、子供もいない。私も淋しかったんだろうね。
エアリスを家に連れて帰る事にしたんだ。
エアリスはすぐに私に懐いてくれた。よく喋る子でねえ。
いろいろ話してくれたよ。何処かの研究所みたいなところから
母親と逃げ出した事。お母さんは星に還っただけだから
淋しくなんかない…… いろいろね。」
バレット「星に還っただって？」
エルミナ「私には意味がわからなかったよ。
夜空の星かって聞いたら違う、この星だって言われて……
まあ、いろんな意味で不思議な子供だったね。」
そうしてまた昔の話を始める……
エアリス『お母さん。泣かないでね。』
エルミナ「エアリスが突然言い出した。
何があったのかって聞いたら……」
エアリス『お母さんの大切な人が死んじゃったよ。心だけになって
お母さんに会いに来たけど、でも、星に還ってしまったの。』
エルミナ「私は信じなかった。でも… それから何日かして…
夫が戦死したという知らせが… 届いたんだ… ……とまあ、
こんな具合でね。いろいろあったけど私達は幸せだった。
ところがある日……」
エアリス達の前に黒服の男－ツォンが現れたのだ
ツォン 『エアリスを返してほしいのです。随分捜しました。』
エアリス『いやっ！ 絶対いやっ！』
ツォン 『エアリス、君は大切な子供なんだ。君は特別な血を
引いている。君の本当のお母さんの血。『古代種』の血だ』
エルミナ「もちろん聞いたよ。『古代種』って何だってね。」
ツォン 『古代種は至上の幸福が約束された土地へ我々を導いてくれるの
です。エアリスはこの貧しいスラムの人々に幸福を与える事が
出来るのです。ですから我々神羅カンパニーは是非とも
エアリスの協力を……』
エアリス『違うもん！ エアリス、古代種なんかじゃないもん！』
ツォン 『でもエアリス、君は時々誰もいないのに声が聞こえる事が
あるだろ？』
エアリス『そんな事ないもん！』
エルミナ「でも、私にはわかっていた。あの子の不思議な能力……
一生懸命、隠そうとしていたから私は気がつかないふりを
していたけどね。」
クラウド「よく何年も神羅から逃げ続ける事が出来たな。」
エルミナ「神羅はエアリスの協力が必要だったから手荒な真似は
出来なかったんだろうね。」
ティファ「じゃあ、今回はどうして……」
エルミナ「小さな女の子を連れてここに帰って来たんだ。
その途中でツォンの奴に見つかってしまったらしくてね。
逃げ切れなかったんだろ、きっと。女の子の無事と引き替えに
自分が神羅に行く事になったんだ。」
クラウド「マリン、だな。」
バレット「マリン！！ マリンのためにエアリスは捕まったのか！
すまねえ。マリンはオレの娘だ。すまねえ…… 本当に……」
エルミナ「あんたが父親かい！？
あんた、娘を放ったらかして何をやってるんだい！？」
バレット「……その話はやめてくれ。オレだって何度も考えたさ。
オレが死んじまったらマリンは… ってな。
でもよ、答えは出ねえんだ。マリンといつも一緒にいたい。
でも、それじゃあ戦えない。戦わなければ星が死ぬ。
おう！ オレは戦うぜ！ でも、マリンが心配だ。
いつでも側にいてやりたい。な？ グルグル回っちまうんだ。」
エルミナ「……わからない訳でもないけどね。
ま、とにかく２階で眠ってるから会っておやりよ。」
ティファ「私のせい…… 私がエアリスを巻き込んだから。」
エルミナ「あんた、気にするんじゃないよ。
エアリスだってそんな風に思っちゃいないよ。」
ティファ「何か落ち込んじゃう。」
クラウドは２階に行くと
バレット「マリン…… 良かった…… 無事で良かった……」
マリン 「父ちゃん泣いちゃダメだよ。お髭、痛いよ！」
バレット「クラウド！ エアリスを助けに行くんだろ？
すっかり世話になっちまったからな。それに相手が
神羅となれば黙っちゃいられねえ！ オレも行くぜ！」
マリン 「あのね、あのね、エアリスがね、いっぱい聞いてたよ。
クラウドってどんな人って。
クラウドの事好きなんだよ、きっと。」
クラウド「そうだといいな。」
マリン 「ティファには内緒にしといてあげるね。」
クラウドは１階に降りると
ティファ「エアリスのところへ行くのね。」
クラウド「ああ。」
ティファ「私も行くから。」
クラウド「神羅の本社に乗り込む。……覚悟が必要だぞ。」
ティファ「わかってるわ。それに今は思い切り身体を動かしたい
気分なの。じっとしてると…… 何か、ダメ。」
バレット「すまねえが、もうしばらくマリンを預かってくれねえか？」
エルミナ「ああ、構わないよ。」
バレット「それから、ここは危険だ。何処かへ移った方がいい。」
エルミナ「……そうだねえ。でも、必ず迎えに来るんだよ。
死んじゃいけないよ。」
３人は大きく頷いた
ティファ「神羅ビルにはどうやって？」
バレット「もう、上に行く列車は使えねぇ…」
ティファ「……… 取りあえず、ウォールマーケットに行きましょう。
あそこなら何かいい手が見つかるかもしれないわ。」
クラウドの悪夢の街－ウォールマーケットに再びやって来た
何か手がかりは… といろいろ探っていると何処かで
ウォールマーケット 「すんごいの見れんだぜ。ついて来いよ。」
子供達が街の奥へと急いでいるようだ
クラウド達も行ってみると
そこは断崖絶壁のプレートがあり、そこからワイヤーが垂れ下がっている
どうやら先程の子供達はここから登っていったらしい
ひとり、ぽつんと取り残された子供が
「みんなこのワイヤーを登って上に行っちゃったよ。
怖くないのかな…… ブルブル。」
ティファ「これ、登れるの？」
「うん。上の世界に繋がってるんだよ。」
バレット「よし！ このワイヤー、登ろうぜ！」
クラウド「それは無理な話だな。何百メートルあると思ってるんだ？」
バレット「無理じゃねえ！ 見ろ！ これは何に見える？」
クラウド「何の変哲もないワイヤーだ。」
バレット「そうかよ？ オレには金色に輝く希望の糸に見えるぜ。」
ティファ「そうね、エアリスを救うために残された道は、
これだけだもんね。」
クラウド「良くわからない例えだったが、バレット、
あんたの気持ちはわかった。行くぞ！」
クラウドはみんなの顔を見、みんなも深く頷いた
そしてワイヤーを掴み、上へ上へと登っていくのであった……
途中、先程の子供達の姿が見える
「うわ～！ すげ～、悲惨……」
「な、こえ～だろ？
父ちゃんは「しんら」って奴の仕業だって言ってたよ。」
子供達の視線の先には七番街プレートの哀れな姿であった
そして何とか登り切り、そびえ立つ神羅ビルを目の当たりにする
神羅カンパニーの繁栄の拠点－神羅ビル
ミッドガルの中心に位置するこのビルは神羅の権力を象徴するかのように
７０階という高層を誇っている
このビルは一般社員、幹部クラス、そして社長と入れる階が決まっており
セキュリティーには万全を誇っているビルでもある
神羅ビル バレット「おい、このビルには詳しいんだろ？」
クラウド「……知らない。そういえば本社に来るのは初めてだ。」
バレット「前に聞いた事があるぜ。このビルの６０階から上は
特別ブロックとかで社員でも簡単には入れないってな。
エアリスが連れていかれたのもそこに違いねえ。
今なら警備にも隙がある。おおし、行くぜっ！！」
ティファ「ちょっと待ってよ！ まさか正面から乗り込むつもり？」
バレット「決まってるだろ！ 神羅の奴らを蹴散らして……」
ティファ「そんなの無茶よ！ もっと見つかりにくい方法を……」
バレット「そんな事やってられねえ！
グズグズしてたらエアリスだって……」
ティファ「それはわかるけど！ ここで私達まで捕まったら……
ね、クラウド。……どうしたらいいの？」
クラウド「コッソリ行こう。」
ティファ「でしょ？ こんな時こそ慎重に他のルートを捜しましょ！」
クラウドは奥に非常階段があるのを見つけ、そこから行く事にした
バレット「おい…… 本気でこれ、上まで登るつもりか……？」
ティファ「しょうがないでしょ。エアリスを無事に助けるためよ。」
バレット「しかし、いくら見つかりにくいったってこいつは……」
ティファ「もう、ゴチャゴチャ言わない！ 行くわよ！」
バレット「お、おいティファ！ ひとりで行くな！」
クラウド達は無謀かと思えるほど長く続く階段を登っていった……
バレット「何で…… わざわざ…… こんな…… 苦労を……」
クラウド「……エアリスを助け出すまで騒ぎは起こしたくないんだ。
でも、無理だろうな……」
バレット「……へへへ。」
クラウド「何だよ、気持ち悪いな。」
バレット「あんたでも他人のために戦う事があるんだな。見直したぜ。」
クラウド「あんたに見直されても嬉しくない。」
バレット「いや、何て言うか…… いろいろ悪かったな。」
ティファ「フフフ……」
クラウド「何だよ。ティファまで……」
バレット「……しかしこの階段何処まで続くんだ？」
ティファ「さあ…… 階段に聞いて。」
バレット「このままずっと続くなんて事はないよなあ？」
ティファ「まさか！！」
バレット「だよな…… そんな筈ないよな…… まだ着かないのか？」
ティファ「まだみたいね。」
バレット「……まだか？」
ティファ「まだよ。」
バレット「なあ……」
ティファ「まだだってば！ まだまだまだまだまだまだまだーっ！」
バレット「もう嫌だ！ オレは戻るぞ！」
ティファ「今まで昇ったのと同じだけ階段降りて？」
バレット「…………」
ティファ「ホラ、バレット、しっかりしなさい！」
バレット「ん、んな事言ったってオレは、み、右腕以外は
普通の体なんだぜ…… 元ソルジャーみたいなと、特別製と……
一緒にしないでくれ……」
ティファ「私だって普通だってば！ 先に行っちゃうわよ！
……？ キャッ！！ ヤダ、バレット！ やっぱり先に行って！」
どうやらティファは自分がミニスカートだという事を忘れていたようだ
バレット「バ、バカ！ オレはそんなつもりじゃ……」
ティファ「いいから！ クラウドも！ 先に行って！！」
こうして再び階段を登り始める
バレット「なあ…… 今、何階だ？」
ティファ「……もう数える気にもならない。」
バレット「こ…… こんなバカ高いビル造りやがって……
やっぱり、し、神羅なんてロクな奴じゃねえぜ……！」
ティファ「………」
バレット「ああ…… オレはもうダメだ……
マリン、父ちゃんはもう一度お前に会いたかった……」
ティファ「ちょっと！ 縁起でもない事言わないの！ もう少し！
もう少しだから！ 多分……」
そしてとうとう……
バレット「や…… やっと…… 着い…… た……
か…… 階段なんて…… もう見るのもゴメンだ……」
ティファ「ハア…… ハア…… さすがにこれは…… 堪えたわ…… ね……
……でも、これからが本番よね。元気出して
いかなきゃ……！」
着いた先は５９階であった
そこには警備兵が侵入したクラウド達を待ち受けていた
「侵入者を排除しろ！」
襲いかかる警備兵を何とか倒すと
クラウド「これは……」
彼らのポケットからカードキーを手に入れた
これで６０階まで行けるという事だ
クラウドは早速カードキーを使ってエレベーターに乗り込んだ
バレット「ここからが本番だ。油断するな。」
ティファ「エアリス、無事だといいね。」
こうして６０階に着いたが
バレット「見ろよ、警備の奴らがウロウロしてやがるぜ。
クラウド、まずお前が先に行って合図してくれ。
オレ達が後に続く。」
このようにしてクラウド達は警備の目を盗んで何とか６０階を突破した
バレット「よし！ ガンガン行くぞ！」
ティファ「忘れないで！
私達の目的はあくまでもエアリスを助け出す事。」
バレット「わかってるって！」
こうして今度はエスカレーターで６１階まで行った
ここでは社員に修理課の者と間違えられて運良くカードキーを手にいれ
６２階に上がった
ここはミッドガル市長、ドミノの部屋であった
市長室の前には助役がいた
ハット 「あ、これはどうも。こちらはミッドガルの市長室で
ございます。この中にはドミノ市長がいらっしゃいます。
ちなみに私はミッドガルの助役です。
困った事がありましたら是非私に……」
ドミノ 「あ～？ 何だね君達は？ ああ、君らが例の……
私？ 私はこの魔晄都市ミッドガルの市長、ドミノだ。
とは言っても名前だけ。ホントのところ、ミッドガルの
すべては神羅の物だ。今の私の仕事と言ったら
神羅カンパニーの資料管理…… ミッドガルの市長が！
神羅の資料を！ ハア…… 君ら、上へ行きたいんだろ？
いいとも、私のカードキーをやろう。
何でこんな事するか？ 決まってるじゃないか。嫌がらせだよ。
イヤガラセ。いいか、神羅はずっと私を苦しめてきたんだぞ。
だから今度は君達が上へ行って神羅の奴らを困らせる。
神羅め、この私を…… この私を一般社員と同じ扱いに……」
ハット 「もしプレジデント神羅に会っても、
私の事は言わないで下さいよ。
これ以上神羅に苛められるのはゴメンですからね……」
ドミノ－ミッドガル市長。しかし実権は神羅に握られ、神羅の資料整理という閉職に
追いやられている。そのためいつか神羅に仕返しをしようと思っている。
ハット－ミッドガル助役。こちらも実権はない。
こうして市長から思わぬ贈り物を貰って更にビルを上っていく
６３階は単なるフロア
６４階はリフレッシュルームで特に警備が厳しいという感じはない
６５階はミッドガルの模型が置かれていた
クラウド「ミッドガル…… 魔晄エネルギーを吸い出し生き続ける都市の
模型か…… この建造中の六番街が完成した時、神羅の野望も
完全な物となる。その野望のためにエアリスを……？」
こうして６５階までは特に何事もなく進めた
６６階に着くとそこは会議室のあるフロアであり
中では何か重役会議が行われているようだ
エアリスの事かもしれないと思い
クラウド達はその会議を何とか覗こうと考え
トイレから天井裏へと忍び込んだ
バレット「ヒュ～！ そうそうたる顔ぶれだぜ。」
そこにはプレジデントを始めとする役員が勢揃いしていた
リーブ 「七番街の被害報告が出ました。既に稼働していた工場部分と
現在までの投資額を考えると我が社の損害は１００億ギルは
くだらないかと……
また七番プレートの再建に掛かる費用は……」
プレジデント神羅「再建はしない。」
リーブ 「は？」
プレジデント神羅「七番プレートはこのまま放っておく。
その代わりにネオ・ミッドガル計画を再開する。」
リーブ 「……では、古代種が？」
プレジデント神羅「約束の地は間もなく我々の物になるだろう。
それから各地の魔晄料金を１５％値上げしたまえ。」
パルマー「値上げ値上げ！ うひょひょひょひょ！
是非我が宇宙開発部にも予算を！」
プレジデント神羅「魔晄料金値上げによる差益はリーブ君と
スカーレット君で分配したまえ。」
パルマー「いいないいな！」
リーブ 「プレジデント。
これ以上の魔晄料金の値上げは住民の不満を招き……」
プレジデント神羅「大丈夫だ。愚かな住民達は不満どころか
益々神羅カンパニーに信頼を寄せる事になる。」
ハイデッカー「ガハハハハ！ テロリストどもから七番街の市民を
救ったのは神羅カンパニーですからな！」
バレット「汚ねえ……」
その時、ひとりの科学者が会議室に入ってきた
プレジデント神羅「おお、宝条君。あの娘はどうかね。」
宝条 「サンプルとしては母親に劣る。
母親イファルナとの比較中だが初期段階で相違が１８％。」
プレジデント神羅「その検査にはどれくらいかかる？」
宝条 「ざっと、１２０年。我々が生きてる間は無理だろう。もちろん
あのサンプルもな。だから古代種を繁殖させようと思うのだ。
しかも、長命で実験に耐えうる強さも持たせる事が出来る。」
プレジデント神羅「約束の地はどうなる？ 計画に支障は出ないのか？」
宝条 「……そのつもりだ。母は強く…… そして弱みを持つ。」
プレジデント神羅「では、会議を終わる。」
プレジデントを始めとする重役は立ち上がって行ったが
ひとり、スカーレットはふと上を見て
スカーレット「臭うわね……」
一瞬、クラウド達はヒヤリとしたが、スカーレットは何事もなく去っていった
クラウド「今のはエアリスの話…… だよな。」
バレット「わかんねえ。」
ティファ「多分、ね。」
クラウド「後をつけよう。」
クラウドは急いでエスカレーターに行くと
そこには先程の科学者がいた
クラウド「宝条…… って奴か……」
バレット「思い出したぜ。あの宝条って奴。神羅の科学部門の責任者だ。
クラウド、知らねえのか？」
クラウド「実際に見るのは初めてだ。そうか…… あいつが……」
宝条－神羅の科学部門統括。自らの研究のためなら、あらゆる非人道的な行為をも
平気で行うマッドサイエンティスト。物欲よりも探求欲によって行動し、
その知識は並外れた物を持っている。２０年前から古代種についての研究を始め
またそれと魔晄とを利用する謎の計画を遂行中という。
そしてクラウド達は宝条の後をつけて６７階に行くと
そこは科学部門の研究室になっていた
奥では宝条が何か大きなビーカーの中を覗いている
「今日の実験サンプルはそいつですか？」
宝条 「そうだ。すぐ実験にとりかかる。上の階に上げてくれ。
可愛いサンプルよ……」
宝条が去った後、それを見ると褐色の大きな獣が入っていた
ティファ「可愛いサンプルよ… か。生物実験に使われるのかな？」
と、クラウドはふと別の装置を見た
そこには……
クラウド「ジェノバ……」
中には首無しの体が安置されている
クラウドはその姿を見ると突然苦しみだした……
クラウド「ジェノバ…… セフィロスの…… そうか……
ここに運んだのか。」
ティファ「クラウド、しっかりして！」
クラウド「見たか？」
バレット「何を？」
クラウド「動いてる…… 生きてる？」
バレット「何だい、この首無しは？
けっ、バカバカしい。さっさと行こうぜ。」
そして６８階に上ると、そこには
クラウド「エアリス！」
エアリスはビーカーに入れられている！！
宝条 「エアリス？ ああ、この娘の名前だったな。何か用か？」
クラウド「エアリスを返してもらおう。」
宝条 「…………部外者だな。」
バレット「最初に気付よ。」
宝条 「世の中にはどうでもいい事が多いのでな。
私を殺そうというのか？
それはやめた方がいいな。ここの装置はデリケートだ。
私がいなくなったら操作出来まい？ ん？」
クラウド「くっ。」
宝条 「そうそう。こういう時こそ論理的思考によって行動する事を
お奨めするよ。さあ、サンプルを投入しろ！」
そう言うと、エアリスのビーカーに先程の獣が入れられる！！
エアリス「クラウド、助けて！」
クラウド「何する気だ！」
宝条 「滅びゆく種族に愛の手を…… どちらも絶滅間近だ。
私が手を貸さないとこの種の生物は滅んでしまうからな。」
ティファ「……生物？ 酷いわ！ エアリスは人間なのよ！」
バレット「許せねえ！」
クラウド「バレット！ 何とかならないのか？」
バレット「ええい！！ 退がってろ！」
宝条 「やめろ！！」
バレットはビーカーめがけて銃をぶっ放した！！
ビーカーは真っ白に包まれる！！
宝条 「な、何という事だ！ 大事なサンプルが……」
宝条は慌ててビーカーを開いた
すると突然、獣が宝条に襲いかかる！！
クラウド「今のうちにエアリスを！」
エアリス「ありがと、クラウド。」
と、クラウドの耳に何やら聞こえてくる……
ティファ「どうしたの？ クラウド……」
クラウド「……エレベーターが動いている。」
宝条 「今度はこんな半端な奴ではないぞ。
もっと凶暴なサンプルだ！」
と、その時宝条を襲っていた獣が突然
「あいつは少々手強い。私の力を貸してやる。」
ティファ「喋った！？」
「後でいくらでも喋ってやるよ、お嬢さん。」
クラウド「あの化け物は俺達が片付ける。
誰かエアリスを安全なところへ…… バレット、頼む！」
クラウドの言葉にバレットはエアリスを連れて逃げ出す
クラウドは獣に向かって
クラウド「お前の名前は？」
レッドXIII「宝条は私をレッドXIIIと名付けた。
私にとっては無意味な名前だ。好きなように呼んでくれ。」
クラウド「さあ、かかってこい！」
レッドXIIIの助けもあって何とか倒せた
しかしいつの間にか宝条の姿は消えていた……
クラウド「エアリス、大丈夫か？」
ティファ「大丈夫みたいよ。……いろんな意味でね。」
レッドXIII「……私にも選ぶ権利がある。二本足は好みじゃない。」
バレット「お前、何だ？」
レッドXIII「興味深い問いだ。しかし、その問いは答え難いな。
私は見ての通り、こういう存在だ。……いろいろ質問も
あるだろうが、取りあえずここから出ようか。
道案内くらいなら付き合ってやる。」
エアリス「クラウド…… やっぱり、来てくれたのね。」
レッドXIII「さっきは失礼したな。
宝条を油断させるために演技をしたつもりだったが……」
バレット「さあ、エアリスを助ければもうこんなビルには用はない！
さっさと出ちまおうぜ。」
クラウド「５人で行動していたら目立つ。二手に別れよう。」
レッドXIII－Red XIII 外見は肉食獣のような獣？である。が、人の言葉を理解し
思慮深い論理家的口調である事からかなりの知能を持つ者である。
彼はコスモキャニオンという小さな村に人間と一緒に住んでおり、
そこの村では彼らの種族が昔から棲息していたという。しかし今では
彼以外はほとんど死に絶え、絶滅の危機に瀕している種族である。
褐色の肌に燃え盛る炎の尻尾。身体の至るところには彼ら特有の魔除けの
入れ墨が施されているが、ただ一ヶ所左肩の部分には宝条に彫られた
XIIIの入れ墨が妖しく目立っている。
彼ら一族は長寿であるため、４８歳という年齢が果たして大人なのか、
それとも子供なのかはまだわからない……
取りあえずバレットとエアリスは別に行かせる事にした
エアリス「後でね！ ６６階のエレベーターで待ってるから。」
バレット「後でな！」
こうして６６階に降り、エレベーターに乗り込んだその時
いきなり後ろから銃を突きつけられた！！
クラウド「お、おい！ 何だ？」
ルード 「上を押してもらおうか？」
クラウド「タークス？ 罠…… か。」
ツォン 「スリリングな気分を味わえたと思うが……
楽しんでもらえたかな？」
クラウド「くっ……」
クラウド達はタークスに捕まり、最上階の社長室へと連れられた
クラウド「みんなも捕まったのか…… …………？ エアリスは何処だ！」
プレジデント神羅「安全な場所にいる。あれは貴重な古代種の
生き残り だからな。知らんのか？ 自らをセトラと呼び、
数千年の昔に生き、今は歴史の中に埋もれてしまった種族。」
レッドXIII「セトラ…… あの娘がセトラの生き残り？」
プレジデント神羅「セトラ、即ち古代種は我らに『約束の地』を
教えてくれる。彼女には期待しているのだ。」
レッドXIII「約束の地？ それは言い伝えではないか？」
プレジデント神羅「だからといって放っておくには余りにも魅力的だ。
約束の地は途方もなく豊かな土地と言われているからな。
……土地が豊かだと言う事は。」
バレット「魔晄エネルギーだな！」
プレジデント神羅「その通り。そこでは金喰い虫の魔晄炉など必要
ないのだ。豊富な魔晄エネルギーが勝手に吹き出してくる。
そこに建設されるネオ・ミッドガル。
我が神羅カンパニーの更なる栄光……」
バレット「ケッ！ 夢見てんじゃねえよ！」
プレジデント神羅「おやおや、知らないのか？ 最近では金と力さえあれば
夢は叶うのだ。さて、会見はこれで終わりだ。」
ルード 「さあ！ 退がれ！」
バレット「待ちやがれ！ テメエには言いたい事が山ほどあるんだ！」
しかし、バレットはタークスのルードに押されて連れていかれる
プレジデント神羅「何かあるなら…… 秘書を通してくれたまえ。」
こうしてクラウド達は独房に入れられた
クラウドはティファと、バレットはレッドXIIIと
そしてエアリスはひとりでそれぞれ閉じ込められていた
ティファ「ヒソヒソ
（逃げられるかな？）」
クラウド（俺に任せておけ。）
ティファ「ヒソヒソ
（クラウド、頼もしい！）」
クラウドはそうは言ったものの、現在のところさしたる案もない
取りあえず他の部屋に入れられた仲間の事を思ってみた
クラウド「エアリスはどうしてるかな。」
エアリス「クラウド、そこにいるの？」
声が聞こえたのか、隣室から壁越しにエアリスの声が届く
クラウド「エアリス！？ 無事か？」
エアリス「うん、大丈夫。きっとクラウドが来てくれるって思ってた。」
クラウド「ボディーガード、依頼しただろ？」
エアリス「報酬はデート１回、だったよね？」
ティファ「………………なるほど。」
エアリス「……！？ ティファ！ ティファもそこにいるの！」
ティファ「すいませんねえ。あのね、エアリス。質問があるんだけど。」
エアリス「な～に？」
ティファ「約束の地って本当にあるの？」
エアリス「……わからない。あたし、知ってるのは……
『セトラの民、星より生まれ、星と語り、星を開く。』
えっと…… それから……
『セトラの民、約束の地へ帰る。
至上の幸福、星が与えし定めの地。』」
ティファ「……どういう意味？」
エアリス「言葉以上の意味、知らないの。」
クラウド「……星と語り？」
ティファ「星が何か言うの？」
エアリス「人が大勢いて、ざわざわしている感じ。
だから何を言ってるのか良くわからない。」
クラウド「今も聞こえるのか？」
エアリス「私、聞こえたのはスラムの教会だけ。ミッドガルはもう
ダメだって、母さん…… 本当の母さんが言ってた。
いつかミッドガルから逃げなさい。星と話して、
エアリスの約束の地、見つけなさい。……母さんが言ってた。
大人になったら聞こえなくなるんだと思ってたけど……」
エアリスはそこで黙りこくってしまった
一方、別の部屋にいるバレットは今までの事を整理している
バレット「おい。エアリスは古代種で、古代種の本当の呼び名はセトラ。
それで古代種は約束の地って場所を知っていて、神羅はその
約束の地が欲しい、と。でも、約束の地ってのは言い伝えに
出てくるだけで本当にあるのかどうかはわからねえ。
これでいいのか？
約束の地には豊富な魔晄エネルギーがあると神羅の連中は
考えてる。ってえ事は、神羅はそこに行ったらまた魔晄
エネルギーをガンガン吸い上げちまうって事だ。
……そこも土地が枯れちまうな。星が…… 病んでいくわけだ。
放っちゃおけねえ！ アバランチ、メンバー募集だ。
オレ、ティファ、クラウド…… それにエアリスもだな。
おめえ、どうだ？」
バレットはレッドXIIIを誘ってみる…… が
レッドXIIIは関心なさそうに黙っている
バレット「つまんねえ野郎だぜ。」
レッドXIII「………………じっちゃん。」
バレット「じっちゃん！？ へへへへ、じっちゃん、ねえ……
へへへへ。」
レッドXIII「何がおかしい。」
バレット「いや、別に…… へへへ。」
こうして何もする事がないまま、クラウド達は眠りへと就いた……
ふと気が付くとだいぶ時間が経っていたようだ……
ティファはまだ相変わらず眠りに就いている
ティファ「……」
と、クラウドは異変が起こっているのに気が付いた！
クラウド「ドアが開いている…… いつの間に？」
外に出ていると、何と警備の者が倒れている
クラウド「どうしたんだ？」
しかし、既に息はない
何かに襲われたような外傷が酷く目に付く
クラウド「ティファ…… 起きろ！」
ティファ「どうしたの？」
クラウド「様子がおかしい。外を見てみろ。」
クラウドの言葉に外を見るティファ
ティファ「一体何があったのかしら……」
クラウド「きっとここの鍵を持っている筈だ……
ほら、ティファはエアリスを。俺はバレット達を助ける。」
クラウドはバレット達を起こしに行く
クラウド「バレット、レッドXIII…… 来てくれ。様子が変なんだ。」
バレット「どうやって入ってきた？ どうして扉が開いているんだ！？」
バレットは外を見ると
バレット「どうしちまったんだよ？」
ティファ「何だか怖いわ……」
エアリス「何かに襲われた……？」
レッドXIII「人間の仕業ではないな。私がこの先の様子を見てくる。」
バレット「こいつの後始末はオレに任せてお前らは先に行け。
神羅に見つからねえうちによ！」
ティファ「さ、レッドXIIIの後を追いましょう！」
至るところで神羅の人の死体が転がり
床一面に血の跡が続いている……
それを追いかけていくと、レッドXIIIが待っていた
そこは、あの首無しの奴が置かれていたところだ
レッドXIII「ジェノバ・サンプル…… 察するに上の階に向かったようだ。
奥のサンプル用エレベーターを使ってな。
何か目的に向かっているような…… 上に……？」
クラウドは血の跡を辿り社長室までやってきた
そこで目にしたものは……！！
バレット「死んでる…… 神羅カンパニーのボスが死んだ……」
椅子にうずくまっているプレジデントの哀れな末路であった……
その背中には１本の長い刀が突き刺さっている
ティファ「この刀は？！」
クラウド「セフィロスの物だ！！」
ティファ「……セフィロスは生きているのね？」
クラウド「……そうみたいだな。
この刀を使えるのはセフィロスしかいない筈だ。」
バレット「誰が殺ったっていいじゃねえか！ これで神羅も終わりだぜ！」
と、物陰からひとりの男が出てきた
「うひょ！」
それは、神羅の宇宙開発部門統括パルマーであった
パルマー「こここここ殺さないでくれ！」
クラウド「何があったんだ？」
パルマー「セ、セフィロス。セフィロスが来た。」
クラウド「見たのか？ セフィロスを見たのか？」
パルマー「ああ、見た！ この目で見た！」
クラウド「本当に見たんだな？」
パルマー「うひょっ！ こんな時に嘘なんか言わない！
それに声も聞いたんだ、うひょっ！
えっと『約束の地は渡さない』ってブツブツ言ってた。」
ティファ「それじゃあ、何？ 約束の地は本当にあって、
セフィロスは約束の地を神羅から守るためにこんな事を？」
バレット「いい奴じゃねえのか？」
クラウド「約束の地を守る？ いい奴？ 違う！！ そんな単純な話じゃ
ない！ 俺は知ってるんだ！ セフィロスの目的は違う！」
と、その時外からヘリが近づいてきた
バレット「ルーファウス！ しまった！ あいつがいたか！」
ティファ「誰なの？」
バレット「副社長ルーファウス。プレジデントの息子だ。」
ティファ「どんな人なのかしら……」
レッドXIII「名前だけなら、私も知っている。」
エアリス「血も涙もない、そう聞いた事、あるけど。」
バレット「長期出張中だって聞いてたぜ……」
クラウド達はヘリに近寄ると
ルーファウスはパルマーから事の次第を聞いているところであった
ルーファウス「そうか…… やはりセフィロスは生きていたか。
……ところで。お前達は何だ？」
クラウド「元ソルジャー・クラス１ＳＴ。クラウドだ！」
バレット「アバランチだ！」
ティファ「同じく！」
エアリス「……スラムの花売り。」
レッドXIII「……実験サンプル。」
ルーファウス「おかしな組み合わせだ。さて、私はルーファウス。
この神羅カンパニーの社長だ。」
バレット「親父が死んだら早速社長か！」
ルーファウス「そうだ、社長就任の挨拶でも聞かせてやろうか。
……親父は金の力で世界を支配しようとした。なるほど
上手く行っていたようだ。民衆は神羅に保護されていると
思っているからな。神羅で働き、給料を貰い、テロリストが
現れれば神羅の軍隊が助けてくれる。一見完璧だ。
だが私のやり方は違う。私は世界を恐怖で支配する。親父の
やり方では金が掛かりすぎるからな。恐怖はほんの少しで人の
心を支配する。愚かな民衆のために金を使う必要はない。
私は親父とは違うのだ。」
ティファ「演説好きのところはそっくりね。」
クラウド「エアリスを連れてビルから出てくれ！」
バレット「何？」
クラウド「説明は後だ！ バレット！ 本当の星の危機だ！」
バレット「何だそりゃ？」
クラウド「後で話す！ 今は俺を信じてくれ！
俺はこいつを倒してから行く！」
バレット「わかったぜ、クラウド！」
ルーファウス－プレジデント神羅の一人息子。副社長であったが、プレジデントの死で
社長を受け継ぐ。親譲りの卓越した弁舌を揮いプレジデント時代以上の
恐怖支配の確立を目指す。エリート意識に裏打ちされた能力主義者で
あり、部下の失策に関しては非常に冷たい性格である。
こうしてバレット達４人はビルから出ようと走っていくが
途中、エアリスが立ち止まり
エアリス「クラウド、何か、思い詰めてた。」
ティファ「……私、クラウドを待つわ！ みんなはエレベーターで先に！」
エアリス達はエレベーターに乗り込み、下へと急ぐ
一方、ルーファウスと対峙しているクラウドは
ルーファウス「何故私と戦うのだ？」
クラウド「お前は約束の地を求めてセフィロスを追う。」
ルーファウス「ふむ、その通り。ん？
お前、セフィロスが古代種だと知っているのか？」
クラウド「……いろいろあってな。
とにかく、お前にもセフィロスにも約束の地は渡せない！」
ルーファウス「なるほど。友達にはなれないようだな。」
そうしてルーファウスと対決するクラウド
ルーファウスはショットガンを撃ち放ち、クラウドを牽制すると
ルーファウス「クックックッ…… ク…… 今日の相手はここまで… だ…」
上空で待機していたヘリに捕まり逃げてしまう
クラウドは仕方なくみんなと合流するため下に向かった
途中、待っていてくれたティファと出会った
ティファ「ルーファウスは？」
クラウド「止めは刺せなかった。面倒な事になりそうだ。」
一方、エレベーターで先に１階に辿り着いたエアリス達だが
バレット「オレが先に行くぜ！」
しかし、既にビルの外には神羅兵が囲んでいる
バレット「チッ……！ すっかり囲まれてやがる。
俺ひとりならともかく、この面子じゃ……」
エアリス「……やっぱり、あなた達だけ逃げて。
あの人達が狙っているのは私。あなた達だけなら……」
バレット「ヘッ、そうはいかねえな。あんたはマリンを守るために奴らに
捕まった。今度は、オレがあんたを守る番だ。
これ以上奴らの…… 神羅の好き勝手にはさせねえ。」
エアリス「……ありがと、バレットさん。」
バレット「ヘヘッ、よしてくれよ。
『バレットさん』なんて俺の柄じゃねえや。」
レッドXIII「……さて。君達の話が終わったならそろそろここから
逃げ出す方法を考えてみないか？」
バレット「ん？ あ、ああ…… チェッ、いやに冷静な奴だな。
何処かの誰かさんみたいだぜ。」
レッドXIII「何か？」
バレット「いや、何でもねえよ。さて、どうするか……」
ティファ「バレット！！」
バレット「ティファ！ クラウドは！？」
ティファ「みんな、こっち！」
バレット「ええ！？ どうしたんだよ？ クラウドは？」
ティファ「話は後！ いいから早く！！」
ティファは奥へとみんなを連れ込む
一方クラウドはビルの３階に展示してあったバイクに跨って階段を降りてくる
ティファは展示してある車に乗り込むとみんなを誘い、クラウドの後を追う
そして再度階段を駆け昇り、そこで助走をつけると
クラウドのバイクはビルのガラスをぶち破って外のハイウェイへとジャンプする！！
追走してくる神羅兵をクラウドが叩きのめし
そのまま一気にミッドガルを脱出した
バレット「さて、どうするよ？」
クラウド「セフィロスは生きている。
俺は…… あの時の決着をつけなくてはならない。」
バレット「それが星を救う事になるんだな？」
クラウド「……おそらく、な。」
バレット「おっし、オレは行くぜ！」
エアリス「私も、行く。……知りたい事、あるから。」
クラウド「古代種の事か？」
エアリス「……いろいろ、たくさん。」
ティファ「さらばミッドガル、ね。」
レッドXIII「私は故郷に帰るつもりだ。それまでは一緒に行ってやる。」
ティファ「……旅が始まるのね。」
クラウド「旅は嫌いか？」
ティファ「……どうかな。でも、もう帰るところないもの。
旅が好きとか嫌いとか関係ないわ。」
エアリス「そういえば、私、ミッドガル出るの、初めて……」
クラウド「そうか…… 不安か？」
エアリス「ちょっと、う～ん、かなり、かな。
でも、何でも屋さんが一緒だし、ね？」
バレット「エアリスのお袋さんには安全な場所に移るようにって
言っといたからマリンも安全だな。」
クラウド「そうだな。」
エアリス「もう、ミッドガルは嫌だって言ってた……
ちょうど良かったかな。」
クラウド「さて…… 行こうか！」
バレット「ここから先、団体行動にはリーダーが必要だ。
リーダーと言えばオレしかいねえ。」
ティファ「そうかしら……」
エアリス「どう考えてもクラウド、よね。」
バレット「チッ………… わかったよ。ここから北東にカームって街が
あるんだ。何かあったらそこを集合場所にしよう。
それにしたって野っ原を５人でゾロゾロ歩くなんて危なくて
しょうがねえ。お前、パーティーを２組に分けてみろ。」
クラウドは迷う事なくエアリスとティファを選ぶと
バレット「……やると思ったぜ。じゃあ、カームでな！」
こうしてミッドガルを後にし、壮大な冒険が幕開けをする！！
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